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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

日本列島が今の姿になったのはいつごろ?

前回記事「大昔は海の底だった!?世界でもっとも高いヒマラヤ山脈のエベレスト」では、ヒマラヤ山脈がどのようにして形成されたが、お話させていただきました。

では、私たちが住む「日本列島」は、いつどのようにしてできたのでしょうか?
東京大学非常勤講師の左巻健男さんの著書『面白くて眠れなくなる地学(PHP文庫)』(PHP研究所刊)から一部抜粋してご紹介します。

日本の地形の誕生

 私たちが現在、見ている山地や平野は、地球の歴史でいうと、つい最近できました。約260万年前からの第四紀(だいよんき)以後のことです。それでも、私たちが生活の中で 「つい最近」というのとはケタ違いですね。この第四紀という時代に、日本列島はほぼ今の姿に形づくられました。

 今から260万年前ごろ、日本列島のあちこちで「隆起」、あるいは「沈降」(ちんこう)が始まり ました。隆起した場所は高くなっていくと同時に、雨風や河川によってどんどんけずりとられていきます。けずりとられる量より隆起量が上まわったところは「山」になっていったのです。

 一方、沈降した場所は盆地になります。沈降とともに、まわりの隆起している山地からもたらされた土砂の堆積によって「平野」が出現しました。

 このような隆起と沈降を「地殻変動」といいます。日本でもっとも隆起量が大きかったのは飛騨山脈で1500メートル以上、もっとも沈量が大きかったのは関東平野で1000メートル以上です。

 では、隆起と沈降の速度はどのくらいでしょうか。 変動した量を約260年で割ると、平均の速さがわかります。最大の隆起を示す飛騨山脈、最大の沈降を示す関東平野でも、千年あたりおよそ0.6~0.4メートル、1年にすると0.6~0.4ミリメートルです。

 1年間あたりの上昇量は、関東山地が0.5ミリメートル、四国山地は1~2ミリメートル、赤石山脈では1年間に四ミリメートルになるという報告があります。 1年に1ミリメートルでも、260万年では2600メートルになります。まさに、「塵(ちり)も積もれば山となる」とはこのことです。

 ヒマラヤ山脈の隆起は一年間に10ミリメートル以上といわれますので、日本の山脈と比べるとずっと大きいですね。 改めて、インド亜大陸とユーラシア大陸のぶつかり合いの大きさに驚きます。

【関連記事】大昔は海の底だった!?世界でもっとも高いヒマラヤ山脈のエベレスト

紹介した本はコチラ

タイトル:
面白くて眠れなくなる地学
(PHP文庫)
著者:左巻健男
出版社:PHP研究所
定価:825円

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著者プロフィール

左巻健男(さまき・たけお)

1949年生まれ。栃木県出身。東京大学非常勤講師(理科教育法)。
千葉大学教育学部(理科)卒業。東京学芸大学大学院修士課程修了(物理化学・科学教育)。中学・高校の理科教諭を26年間務めた後、京都工芸繊維大学教授、同志社女子大学教授、法政大学教授を歴任。2019年より現職。専門は理科教育(科学教育)・科学啓発。
『面白くて眠れなくなる物理』『面白くて眠れなくなる化学』『面白くて眠れなくなる理科』(以上、PHP文庫)、『新しい高校地学の教科書』『新しい高校化学の教科書』(以上、講談社ブルーバックス)、『絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている』(ダイヤモンド社)など単著・編著多数。