【ニュースがわかる2024年6月号】巻頭特集は地震大国ニッポン 被害を減らすために

日本の教育改革をめざすフロントランナー 男子の挑戦心を引き出しオックスブリッジへの道を拓く│巣鴨中学校

「スクールエコノミスト」がお届けする、中学受験ガイド。
本記事ではオックスブリッジなど超一流大学への進学ルートを確立した「巣鴨中学校」の取り組みをご紹介します。

●注目ポイント

①オックスブリッジなど超一流大学への進学ルートを確立
②「算数選抜入試」を新設。世界に通用する数学力を身につける
③高次の思考へ導く国際教育プログラム「Double Helix(ダブル・ヒーリックス)」

得意の数学でオックスフォード大へ進学

 イギリスのパブリック・スクール「クライストカレッジ・ブレコン」は、ウェールズ南部に位置する1541年創立の伝統校。巣鴨出身の金田隼人さんは、約2年間この学校に通い、2019年秋、世界屈指のオックスフォード大学への進学を果たした。

 この快挙がターニングポイントとなり、巣鴨はクライストカレッジと「フレンドシップ・アグリーメント」を締結。兼ねてより可能であった1年留学だけでなく、巣鴨が推薦する生徒は優先的に転籍が認められ、イギリスの大学へ直接進学することが可能となった。

 成績次第では、世界屈指のオックスフォード大学やケンブリッジ大学への進学も夢ではない。こうしたルート開拓によって、今や巣鴨生にとってオックスブリッジは現実的な選択肢の一つとなっている。

 そんな金田さんの強力な武器となったのが、“世界共通語”である数学だった。もともと日本の数学教育は、世界でもトップレベルだと言われるが、「巣鴨の数学は世界に通用する」と金田さん自身も認めている。理数系が得意な日本の生徒なら、オックスブリッジを十分に狙えると証明したのである。

スタートラインは算数選抜入試

 そうした背景の中、巣鴨では、数学教育のレベルアップをはかり、海外進学も視野に入れた指導体制を強化。20年度からは、数学を得意とする受験生をターゲットにした「算数選抜入試」をスタートさせた。

 入試問題は5問。前半は基礎力を問う計算問題、後半は難易度の高い長文、記述式問題と続く。数学科の爲貝基文教諭は、「典型的な小問、思考力を必要とする文章題、長文問題だが、努力した生徒が報われるよう数学科一丸となって作問した」と出題の意図を語る。特に最後の長文問題は、2ページにわたる長文を正確に理解し、立式しなければならない難問中の難問。男子御三家クラスの難関校を併願するトップレベルの受験生が挑む巣鴨の算数選抜入試は、算数の力のみならず、読解力や論理的思考力など自ら考え抜く“地頭のよさ”が試されているのだ。

 算数選抜で入学した生徒は、入学後も多くの子がトップ集団に位置している。もともと数学的な感覚に優れており、自学自習で数学に関する月刊誌を購読し、数学オリンピックなどの学力コンテストに挑戦するなど数学への興味関心が強い。

 しかし、教員らが驚くのは、こうした生徒の数学に対する熱い思いがクラスメートに伝わり、クラス全体の数学力の底上げに寄与していることである。数学科の西岡暁教諭は、数年前と比較すると難しい授業内容でも食らいつこうとする生徒が増えたと実感。同じ数学科の今坂直哉教諭は、生徒たちが数学の難問に前向きに取り組むためにも、教員自らが日々楽しい授業を行うことが重要だと自戒する。

挫折をバネに一層学業に励む数学系男子

 算数選抜で入学した生徒の中には、第一志望が不合格となり、大きなショックを抱えたまま入学する子も多い。だが今では「日本一いい学校と思える」。そう胸を張って彼らは話す。

 中3の松永さんもその一人。いざ巣鴨に通い始めると、数学の授業のおもしろさにすぐに魅了されたという。今では友達と競い合い、切磋琢磨するクラスの雰囲気が自身のやる気につながっている。巣鴨の伝統行事である強歩大会や遠泳大会に対しても「挑戦しがいがあるので積極的に参加したい」と意気込む。

 中1の峯さんは、巣鴨の授業のテンポの速さが気に入っている。特に数学は、毎回テストの解説を聞くのが楽しみで、将来は数学の知識を生かし、生物の仕組みを解明する学問に打ち込みたいと考えている。受験生には「ぜひ巣鴨の文化祭に足を運んで学校の魅力を肌で感じてほしい」と話す。

 中1の鄭さんは、将来は医師になって病気で苦しんでいる人を助けたいという目標があり、英語と数学に特に力を入れている。受験生には「入学したときの達成感は、苦労を上回る達成感が味わえる。ぜひ頑張ってほしい」とエールを送る。