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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

日本の教育改革をめざすフロントランナー 男子の挑戦心を引き出しオックスブリッジへの道を拓く│巣鴨中学校

イギリス在住の日本人医師が日本医療界の現状を危惧

 巣鴨はハイレベルな理数教育を背景に医学部への進学者も多い。そこで2022年夏には「医療」をテーマにした3回目の「Double Helix」を開催。4名の講師が「世界の医療と医療格差」、「倫理とチームワーク」、「医療倫理(安楽死、幹細胞研究)」、「免疫」について講義を行った。

 きっかけは、講師の一人でもある松宮陽輔医師の危機感だ。オックスフォード大学産婦人科専門医でもある松宮氏は、患者のために身を粉にして働く倫理観、使命感を持った医者を育てるプログラムを日本で作りたいと強く願っていたという。イギリス在住の松宮氏は、サバティカル(研究休暇)で来日した3年間で、有名大学医学部の学生を相手に講義を担当。その際、学生から「楽して稼げる科はどこか?」と聞かれ衝撃を受けたという。あらゆる患者に質の高い医療を提供するべく奔走してきた松宮氏にとって、日本医療界の現状を何とかしたいという使命感が湧き起こったのだ。

医学部志望者のための対面式Double Helix(ダブル・ヒーリックス)

◆岡田教諭の期待 ~ノブリス・オブリージュの精神~

 フランスには「ノブレス・オブリージュ」という言葉がある。身分の高い者は相応の社会的責任や義務があるという意味だが、イギリス社会では、国家から特権を与えられた貴族やエリートは、国家・国民のために尽くす義務があるという意味に受け取られている。

 「このプログラムを経験し、医学を本気でめざす人、一方でめざすのをやめる人が出てもいい」と岡田教諭。「偏差値が高いから医学部に行くのは日本だけ。日本の恵まれた環境で学べる子どもたちだからこそ、何のために医学部へ行くのか、人を助けるということはどういうことかを突き詰めて考えてほしい」と話す。

 今ではこうした考えに共感してくれる教員仲間が独自のうねりを起こし、岡田教諭自身にも着地点が見えないほどの広がりを見せている。「今後は、海外の学校のネットワークも駆使して、もっとおもしろいことが国境を越えてできるかもしれない」と夢は膨らむ。まさに“改革のフロントランナー”だ。

 「『Double Helix』のメリットは、学べば学ぶほど新しい世界の見方が増え、足りない部分が見えてくるところ。すると他者と競争する必要がなくなり、自分が唯一無二となる。自分の枠を超え、どんどん自分らしくなる。これこそが『Double Helix』の根本にある」と岡田教諭。学ぶことによって自分にワクワクする。自分の枠を超えた学びが、唯一無二の自分を築くことにつながる。これこそが、日本の教育のあるべき姿なのかもしれない。(文/佐久間香苗)


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学校データ

巣鴨中学校

所在地〒170-0012 東京都豊島区上池袋1-21-1
TEL03-3918-5311
学校公式サイトhttps://sugamo.ed.jp/
海外進学支援
帰国生入試
アクセス大塚駅(JR山手線)徒歩10分
北池袋駅(東武東上線)徒歩10分
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巣鴨新田駅(都電)徒歩8分
国内外大学合格実績
(過去3年間)
東京、京都、東京工業、一橋、北海道、東北、筑波、
東京医科歯科、防衛医科、防衛、慶應義塾、早稲田、
上智、東京理科、日本医科、東京慈恵会医科、順天堂(医)、
東京医科、ミネソタ州立など