軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外国為替及び外国貿易法(外為法)違反の疑いで逮捕・起訴され、後に起訴が取り消された化学機械製造会社「大川原化工機」(神奈川県横浜市)の社長らが、東京都と国に5億円超の損害賠償を求めた訴訟で、都と国は1月10日、警視庁などの捜査を違法と認めた東京地方裁判所判決(2023年12月27日)を不服として東京高等裁判所に控訴(第1審の判決を不服として上級裁判所に訴えること)しました。同社側も10日、控訴しました。(「Newsがわかる2024年3月号」より)
社長らは2020年3月、国の許可を得ずに噴霧乾燥器を中国と韓国に輸出したことが外為法違反に当たるとして逮捕・起訴されました。しかし、東京地方検察庁は2021年7月、兵器の製造に転用できるか疑わしくなったとして起訴を取り消しました。
昨年12月の地裁判決は、必要な捜査を尽くさなかったとして都と国に総額約1億6200万円の賠償を命じました。判決は警視庁公安部の取調官が同社側をだまして供述調書を作ったとして取り調べを違法と認めており、警視庁は受け入れられないと判断したとみられます。
同社側は「捜査機関の悪質性を主張していく」としています。
東京都と国が控訴したことを受けて記者会見を開いた大川原化工機の大川原正明社長(中央)ら=東京・霞が関の司法記者クラブで1月11日
国と東京都に損害賠償を求めた訴訟の判決後、「勝訴」と書かれた紙を手にする大川原社長(中央)=東京都千代田区で2023年12月27日