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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

“埋もれた教訓”を地図上に掘り起こし伝える[地図記号・自然災害伝承碑]

災害の教訓を生かして被害を免れた例も

 2011年の東日本大震災では、住民が過去の災害の教訓を生かして被害をまぬがれたケースもありました。

 明治と昭和地震の津波で大きな被害が出た岩手県宮古市の姉吉地区には、「此処より下に家を建てるな」と刻まれた石碑があります。住民たちは石碑より海側に家を建てず、東日本大震災で津波による住宅の被害は1軒もありませんでした。毎年、昭和三陸地震で津波が起きた3月3日前後、碑の前で慰霊祭を行ったり、そうじをしたりして、犠牲者を出さなかった地域もあります。

(2019年7月26日毎日小学生新聞「自由研究お助け隊」より)

「自然災害伝承碑」はどうやって調べるの?

 国土地理院は全国の市区町村に情報提供を呼びかけ、2019年6月からウェブ上の「地理院地図」に「自然災害伝承碑」を掲載しています。
 たとえば、27年前に起こった阪神・淡路大震災の被災地のあたりから、「災害伝承・避難場所」▷「自然災害伝承碑」を選択すると、地図記号が下記のように表示されます。

 地図記号を選択すると、石碑の画像とともに災害はじめ、伝承内容などが掲載されています。掲載されている情報は下記一覧のとおりです。

1)碑名    自然災害伝承碑の名称
2)災害名同碑の対象となっている災害名
3)災害種別同碑の対象となっている災害の種類
4)建立年同碑が建立された年
5)所在地同碑の所在地
6)伝承内容碑文に記載された内容に、死者数や建物被害など被害の規模を示す情報等を補足し、100字程度に要約した情報
7)写真同碑の写真
国土地理院のホームページより

近くに「自然災害伝承碑」がないか調べてみよう

 2022年1月14日時点で、地理院地図における自然災害伝承碑の公開数は、全国367市区町村1224基。阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)、最も古いものでは、約1000年に起きた津波に関する伝承碑「松崎の碑」(島根県益田市・1026年)から2018年に起きた北海道胆振東部地震など公開されています。

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 自然災害は、地震だけではありません。地震による津波や洪水、高潮などもあります。日ごろから備えるために、避難路を考えてみたり、いま住んでいる自治体の取り組みを調べたり、また、「地理院地図」で「自然災害伝承碑」を調べてみたり、当時の被災状況や伝承内容など見ながら、いずれ起こるかもしれない災害に対して、いまいちど考え、家族で話し合ってみましょう。

「ニュースがわかるオンライン」編集部