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「日焼け」知って防ごうぜ!【ニュース知りたいんジャー】

もうすぐ夏休み。海やプールにでかける人も多いでしょう。でも、7~8月は1年の中で最も紫外線量が多く、日焼けしやすい時期です。日焼けのしくみや体への影響、防ぐためのポイントを知りたいんジャーが調べました。【横田香奈】

◇日焼けするってどういうこと?

 神戸大学名誉教授でアーツ銀座クリニック院長の市橋正光さんによると、日焼けは太陽によるやけどです。医学用語では「日光皮ふ炎」と言います。太陽から届く光の中の「紫外線」によって皮ふが刺激を受けて起こります。

 紫外線は目に見えない光で、紫外線A、B、Cの3種類があります。このうち、人の体に影響を与えるのは、紫外線AとBです。紫外線Cは、地球の表面を覆うオゾン層に吸収され、地上にはほとんど届きません。


◇ぼくは日焼けすると赤くなるんだけど

 日光を浴びた数時間後から肌が赤くなる状態を「サンバーン」、数日後、赤い日焼けがなくなって肌が黒くなる状態を「サンタン」と呼びます。市橋さんによると、肌が赤くなるのは、皮ふが炎症を起こしているからです。皮ふに紫外線が当たると血管を拡張させる物質ができて、それが肌の奥の真皮にまで届いて血管を広げ、血液量が増えます。これが炎症です。

 こうなるのは、表皮の細胞や真皮の細胞の遺伝子に傷がつき、その傷が治らずに残ってしまうからです。肌が黒くなるのは、紫外線を浴びて数日たつと、黒い色素の「メラニン」が大量に作られるからです。メラニンは紫外線を吸収します。紫外線から肌を守るために、遺伝子が傷ついた表皮の細胞がメラノサイトにメラニンを作らせます。

 こうした皮ふの細胞の働きのどちらが盛んかによって、赤くなりやすい人、黒くなりやすい人に分かれます。

◇日焼けはしない方がいいの?

 日焼けは、しみやしわなど皮ふの老化を引き起こすだけではなく、皮ふがんの原因にもなるなど、紫外線を浴び続けると体に悪い影響を与えてしまいます。人間の体は紫外線で傷ついた遺伝子を元に戻そうとしますが、傷が多すぎて治せなかったり間違えて治されたりすると遺伝子の突然変異が起こって、それが皮ふがんの原因になってしまうのです。

 ただ、紫外線をまったく浴びないようにするのは難しいことです。市橋さんは、太陽と上手に付き合うことが大切といいます。


◇昔は、「日焼けは勲章」って言ってたようだけど

 昔は、日焼けした肌は健康や、夏を楽しんだ証しという考え方もありました。日光浴は健康のためによいこととされ、昔は母子手帳にも「日光浴」の項目がありました。

 しかし、1970年代に入り、紫外線は人の健康、特に皮ふに害をもたらすことが研究者や皮ふ科の先生から一般の人にも広まりました。また、人間が大気中に出したフロンガス(エアコンなどに使われています)が、オゾン層と呼ばれる地球の空気の層を壊すことが分かりました。オゾン層は紫外線を吸収する働きがあります。

 海外ではオゾン層が減ることで皮ふがんが増える可能性が話題となり、日本でも皮ふを黒く焼くことは皮ふの健康によくないとの知識が根付いてきました。

◇どうやって防いだらいい?

 環境省は対策として、紫外線の強い時間帯(正午前後)の外出を避ける▽日陰を利用する▽帽子をかぶる▽衣服で覆う▽日焼け止めを上手に使う――などを挙げています。

 紫外線は上からだけでなく、地面に反射して下からも照りつけます。市橋さんは、服を選ぶ時は、顔に近い部分は紫外線をカットする黒色の方が日焼け防止に役立つといいます。帽子や日傘も外側は白で内側は黒がおすすめです。外側も黒いと赤外線を吸収して暑さを感じやすくなるからです。

 なお、日焼け止めの効果には大きく分けて2種類あります。紫外線Aを防ぐ効果はPAで、紫外線Bを防ぐ効果はSPFで表します。PAは「+」の数が多いほど効果があり、SPFは数字が大きいほど効果が高いです。(2019年07月10日掲載毎日小学生新聞より)