月が追いかけてくるのはなぜ?【疑問氷解】

Q 車に乗っている時に、月が追いかけてくるのはなぜですか。(山口県山陽小野田市、小2)

遠いので止まっているように見える

 A 夜、車の外を見ると、月が追いかけてくるではありませんか。「いや~、あっち行って」と思っても、その願いは通じません。ところが月にしてみたら、追いかけてくるだなんて、人聞きの悪い。「私は地球の周りを回っているだけなのよ」というのが月の言い分です。

 どうして追いかけてくるように見えるのでしょうか。宮城県の仙台市天文台企画交流担当の仲千春さんに聞きました。「遠くにある物は、動きを感じにくくなります。目の前にある物は、動いているのがよくわかりますが、そこから離れると、動きが少なく見えます」。たとえば、握りこぶしを作って、目の前で見てみてください。頭を左右にゆらすと、こぶしも大きく動いているように見えます。ところが、こぶしを遠く離して同じことをすると、あまり動きが感じられなくなります。これは、物が近いほど見える角度が大きくなり、遠いほど角度が小さく、まるで動いていないように見えるという現象です=イラスト。

 月は、地球から約38万キロメートルも離れています。仙台市天文台によると、歩いて約11年、自転車でも約3年もかかるとか。ちなみに飛行機なら約2週間で着そうですよ。もちろん飛行機では行けませんが。とにかく月は遠いので、たとえ月が地球の周りを回っていても、さらにあなたが動いていても、月はまるで止まっているように見えます。

 さらに、「月は、表面の成分によって円の周りが暗く見える性質があり、それでぼうっと浮かんでいるように見えているのではという説があります」と仲さん。「月が止まっているように見え、さらに浮かんでいるように見えるので、自分が動くとまるで追いかけてくるように見えると言われています。目の錯覚です」と話します。また、「太陽と違って、月はじっくり見ることができます。よく見るから、そう思うのかもしれません」とも話していました。

 「ほら、追いかけてなんかいないって言ったでしょ」とお月様。大変失礼しました。【中嶋真希】

                     (「疑問氷解Vol.8」より)