気候変動に関する最新の情報を評価し、まとめる国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第2作業部会は2月28日、8年ぶりとなる報告書を公表しました。「人間が原因の地球温暖化が広い範囲に悪影響を与えている」と初めて断定し、影響を小さくするための対策「適応策」に限界があることも指摘。温暖化の進行に改めて警鐘を鳴らしました。(ニュースがわかる2022年5月号より)
広範囲に悪影響
今回の第6次報告書は、日本を含む67カ国から270人の研究者が執筆などを担当し、3万4000以上の論文などを基にまとめられました。報告書は、豪雨や干ばつといった異常気象について「人間が引き起こした気候変動に原因があると判断されることが増えている」と記しています。そして、異常気象の増加は、自然や人間の適応能力を超えるようなとりかえしのつかない影響を及ぼしているとしました。前回2014年の報告書では「自然と人間システムに影響を引き起こしている」という表現にとどまっていました。
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世界人口の4割強 対応困難
気候変動の人間や生態系への影響は、場所によって大きく違い、約33億〜36億人が気候変動への対応が難しい状況で生活しているといいます。世界の人口が約78億人ですから、その4割強にあたります。