JR西日本の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」が2017年6月17日から運行。2013年から走っているJR九州の「ななつ星in九州」に続き、2017年5月にはJR東日本の「トランスイート四季島」も走り始めており、JR各社から続々と豪華寝台列車が登場しています。どんな列車なのでしょう。
「ななつ星 in 九州」
「ななつ星」の登場でクルーズトレインが注目されたんだね
JR九州の「ななつ星」は日本初のクルーズトレインです。クルーズトレインとは、豪華な客室でおいしい料理を味わい、途中下車して観光地を巡る旅行を楽しむ鉄道です。
「ななつ星」は工業デザイナーの水戸岡鋭治さんがデザインを手がけました。7両編成で定員は30人。3泊4日の代金は1人60万円以上と高額です。でも3年たっても予約平均倍率が20倍を超える人気です。
その後、2017年5月1日にはJR東日本の「四季島」がデビュー。JR西日本の「瑞風」も登場し、各地に豪華寝台列車がそろいました。
「走るホテル」って?
食堂や個室を備えた寝台列車は「走るホテル」と例えられます。「瑞風」のコンセプトは「美しい日本をホテルが走る」。10両編成で定員は30人。風や香りを感じられるよう展望車には外付けのデッキを設けました。乗客をもてなすクルーは、一流の「おもてなし」ができるように、東京の超一流ホテルで研修しました。
「四季島」のデザインは、高級車のフェラーリを手がけたこともある奥山清行さんが担当しました。10両編成で定員は34人。先頭と最後尾の車両は4面ガラス張りの展望車です。
豪華寝台列車「トランスイート四季島」のダイニング
豪華寝台列車が走るとどんな効果があるの?
車内でふるまわれる料理は沿線の食材を使い、内部の飾りつけにも伝統工芸品がちりばめられています。「ななつ星」には十四代酒井田柿右衛門が作った有田焼の洗面鉢、「瑞風」は扉などに沿線の木材、「四季島」は山形のカーペットなどが使われていて、列車が走る地域の魅力を体で感じることができます。地元の良さや特産品の大きなPRになるのです。
ブルートレインはなくなったのにどうして?
豪華寝台列車が注目を集める一方で、ブルートレインをはじめとする寝台列車がどんどん姿を消しています。唯一残るのは、東京と出雲市(島根県)・高松(香川県)を結ぶ寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」だけです。
ブルートレインの元祖は1958年に運行を始めた「あさかぜ」。東京―博多(福岡県)間を約17時間かけて走りました。新幹線や飛行機、高速バスがなかったころ、時間を有効に使うため、寝台列車で夜のうちに移動したのです。
しかし、交通の発達で移動時間は短くなり、寝台列車の乗客は減りました。豪華寝台列車の成功は、移動するだけの手段から列車に乗ること自体の楽しさを前面に打ち出したことがカギのようです。
上野駅に到着した最後の臨時寝台特急「北斗星」。大勢のファンが詰めかけました=JR上野駅で2015年8月
JRは発足30年だって?
JRはかつて、国が運営する「国鉄」でした。赤字がふくらんだため、民間の会社にして効率よく稼ぐことを目指しました。2017年は、国鉄が1987年4月にJRになってからちょうど30年の節目です。
北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州の6社と貨物に分かれました。東京と名古屋、大阪を結ぶ東海道新幹線のある東海や、利用客が多い東日本、西日本は利益を出していますが、九州、四国、北海道、貨物は苦しい経営が続いています。ただ、九州は「ななつ星」でイメージを良くしたこともあり、証券取引所で株が売り買いされるようになりました。【篠口純子】
(2017年6月13日毎日小学生新聞「知りたいんジャー」より)
毎日小学生新聞は7月21日から9月20日まで、「鉄道開業150年」のスタンプラリーを展開中。毎日、紙面に掲載されるスタンプを専用台紙(7月21日、22日毎日小学生新聞)に貼って応募すると、応募者全員の名前が紙面に掲載(希望者のみ)されるほか、抽選で電子辞書のプレゼントもあります。