「週刊エコノミスト」で幅広いジャンルの本を紹介している「話題の本」コーナー。その中から、親子でも楽しめる、より深く知ることでタメになる本を厳選してご紹介します。
絶滅の危機に瀕(ひん)するウミガメを救おうと世界の熱帯を回る著者。
半世紀近く重ねてきた生態調査などの経験の貴重な記録で、人間には「保護」できるほどの知識も能力もないと指摘。
広く行われている卵の移植は効果なしと断じるなど、さまざまな誤解を否定し、ウミガメのライフサイクルに人が関わらない「保全」こそが重要と主張する。
現地で卵の盗掘人を自腹で監視人に雇うなど、一見型破りだが地道な活動がウミガメの苦境を打開すると信じたい。
(「週刊エコノミスト」21年9月28日号『話題の本』より)
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紹介した本はコチラ
タイトル:
ウミガメは100キロ沖で恋をする
著者:菅沼弘行
出版社:方丈社
定価:1,320円
全国書店等にてお買い求めいただけます
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著者プロフィール
菅沼弘行(すがぬま・ひろゆき)
認定NPO法人エバーラスティング・ネイチャー常勤理事。
小笠原でアオウミガメの増殖を行っているという新聞記事を見た数日後に、小笠原行の船に飛び乗り、ウミガメの世界に飛び込む。東京都小笠原水産センターで行っていたアオウミガメの人工ふ化放流事業を手伝う。その後、財団法人の管理する小笠原海洋センターの職員として小笠原に22年住む。財団法人の解散後、ELNAを立ち上げる。小笠原やインドネシア以外にも、パラオのタイマイ調査、キューバのタイマイ調査やベトナムのウミガメ調査などに関わった結果、現場のデータがいかに重要かを知る。自然の状態が絶滅危惧種を絶滅させない唯一の力であることを、データから教わった。人は決して自然をコントロールできないのである。これが、エルナの今の活動概念の根底になっている。これまでに、環境省の専門委員、日本ウミガメ協議会の副会長、国際ウミガメ学会の理事などを務め、 人と絶滅危惧種の狭間を力強く歩んでいる。IUCN・種の保存委員会ウミガメ専門委員(Hawksbill Task Forceメンバー)
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