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変わりやすい秋の天気、その理由は?

面白くて眠れなくなる地学

せっかくの週末に毎回、雨が降って残念な思いをした経験があるのではないでしょうか。夏も冬も比較的同じ天気が続くのに、なぜ秋の天気は変わりやすいのか――その疑問に、東京大学非常勤講師の左巻健男さんが、著書『面白くて眠れなくなる地学(PHP文庫)』(PHP研究所刊)の中で教えてくれました。

なぜ秋の天気は変わりやすいのか?

 秋には、晴れの日が一週間続くということはなかなかありません。一日か二日よく晴れたと思ったら雨が降り、また晴れるというくり返しです。夏は時々雷雨があるほかは晴れ、冬は乾燥した晴天の太平洋側と雪の日本海側というように、比較的同じ天気が続きます。

では、なぜ秋の天気は変わりやすいのでしょうか。

 その理由は、低気圧の通り道が季節によって南北に上下するためです。
 夏には日本列島はすっぽりと太平洋高気圧に覆われるため、低気圧がやってきません。低気圧は、シベリアやオホーツク海を進みます。

 秋になると太平洋高気圧が弱まり、低気圧の通り道が日本列島まで南下します。そのため、日本列島上空を低気圧が通ると雨が降り、移動性高気圧が通ると晴れるという変わりやすい天気になるのです。

天気が変わりやすいのは、「春」も同じです。
秋と同様、低気圧と高気圧が交互に通るためです。

 春や秋には、低気圧は三日か四日おきに通ることが多いため、いったん日曜日が雨になると、翌週も、そのまた翌週も日曜日に雨が降るということが起こるのです。

 寒暖の変化も、同じ周期でやってきます。低気圧が来る前は南の風が吹いて気温が上がりますが、通り過ぎると北風に変わって寒くなります。この時期は、暑かったり寒かったりで風邪をひきやすく、洋服選びも悩ましいものです。木枯らしが吹いてもう冬かと思っても、必ずまた、ぽかぽかと暖かい日が現れて、寒暖をくり返しながら冬に向かっていきます。

紹介した本はコチラ

タイトル:
面白くて眠れなくなる地学
(PHP文庫)
著者:左巻健男
出版社:PHP研究所
定価:825円

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著者プロフィール

左巻健男(さまき・たけお)

1949年生まれ。栃木県出身。東京大学非常勤講師(理科教育法)。
千葉大学教育学部(理科)卒業。東京学芸大学大学院修士課程修了(物理化学・科学教育)。中学・高校の理科教諭を26年間務めた後、京都工芸繊維大学教授、同志社女子大学教授、法政大学教授を歴任。2019年より現職。専門は理科教育(科学教育)・科学啓発。
『面白くて眠れなくなる物理』『面白くて眠れなくなる化学』『面白くて眠れなくなる理科』(以上、PHP文庫)、『新しい高校地学の教科書』『新しい高校化学の教科書』(以上、講談社ブルーバックス)、『絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている』(ダイヤモンド社)など単著・編著多数。