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読書家の父娘が語る「本」の話③~わからない言葉があっても辞書は引かない~【ニュースがわかるの本棚】

池澤夏樹 池澤春菜 ぜんぶ本の話 毎日新聞出版

好評連載「読書家の父娘が語る「本」の話」。

今回は、大人向けの本、少し難しい本を読んでいると、どうしても「読めない字」や「意味がわからない言葉」がでてきたりします。そんなとき、小さい頃から本を読んできた2人はどうしていたのか、お話を伺いました。

本記事は、読書家の父娘ふたりが、「読書のよろこび」を語りつくした対話集『ぜんぶ本の話』から一部を抜粋し、ご紹介します。

読めない漢字があっても、そこは飛ばしてカンで読む

娘・池澤春菜 そういえばわたしは小さい頃、本を買うものと思っていなかった。いつもパパのところに本が届くじゃない? だから本って向こうから「来る」ものだと思っていた(笑)。

父・池澤夏樹 届いた本がそこら中に積んであるから、適当に抜き出して読んでいたね。

池澤夏樹 池澤春菜 ぜんぶ本の話 毎日新聞出版
写真・毎日新聞出版

春菜 大人向けも子ども向けも関係なく。というか、ほぼ全部大人向け。読んでつまらなかったら、また山に戻し、「これは好き」と思ったら自分の本棚に置く。ああしてバイキング料理みたいに本を試し読みできたのは、とっても恵まれていたと思う。

夏樹 そこから少女書評家としてのキャリアが始まった(笑)。

春菜 そうかも。自分がどういう本が好きなのか、基本がわかったもの。

夏樹 そこから基本線は変わっていない?

春菜 うん。小さい頃だから読めない漢字もあったけど、そこは飛ばしてカンで読んじゃう。意味はわかるけど読めない字もたくさんあった。 樋口一葉のことを「おけぐちいっぱ」と読んだりして(笑)。
でもパパたちは「〝とい〞とは読めなかったけど〝おけ〞は読めたか。がんばったね」と言ってくれた(笑)。

夏樹 そんなこともあったかな。

春菜 そうやって「自分読み」をしてました。それでも前後の文脈で意味はとれるし、何度も出てくればそのぶん情報量は増えるから、読みの精度はどんどん上がるのね。

夏樹 そう。それは外国語でも同じ。まずはとにかく読むこと。わからない言葉があってもいちいち辞書は引かない。何度も出てきて「これはキーワードだ」と思ったら、そこではじめて辞書を引く。そうすることで語彙が増えていくんだ。

春菜 読むスピードのほうが大事よね。いちいち止めて戻って、とやっていると物語が頭に入ってこない。それより、読み飛ばしてでもズンズン先に進む。そういう意味では子どもでも読めない本ってなかったな。

続きは10月30日に配信予定です。

  

紹介した本はコチラ

タイトル:
ぜんぶ本の話
著者:池澤夏樹、池澤春菜
出版社:毎日新聞出版
定価:1,760円

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著者プロフィール

父・池澤夏樹(いけざわ・なつき)

1945年生まれ。作家、詩人。小説、詩やエッセイのほか、翻訳、紀行文、書評など、多彩で旺盛な執筆活動を続けている。また2007年から2020年にかけて、『個人編集 世界文学全集』、『個人編集 日本文学全集』(各全三十巻)を手がける。著書に『スティル・ライフ』、『マシアス・ギリの失脚』、『池澤夏樹の世界文学リミックス』、『いつだって読むのは目の前の一冊なのだ』など多数。

娘・池澤春菜(いけざわ・はるな)

1975年生まれ。声優・歌手・エッセイスト。幼少期より年間300冊以上の読書を続ける読書狂。とりわけSFとファンタジーに造詣が深い。お茶やガンプラ、きのこ等々、幅広い守備範囲を生かして多彩な活動を展開中。著書に『乙女の読書道』、『SFのSは、ステキのS』、『最愛台湾ごはん 春菜的台湾好吃案内』、『はじめましての中国茶』、『おかえり台湾』(高山羽根子との共著)などがある。