【ニュースがわかる2024年7月号】巻頭特集は「沸騰」する地球の未来

スクールエコノミスト2024 WEB【普連土学園中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は普連土学園中学校を紹介します。

フレンド派が貴ぶ深い思索と対話。異文化体験で生徒たちは飛躍的に成長

<注目ポイント>

①キリスト教フレンド派の「自由・平等・平和・対話」を大切にする宗教教育

②世界に視野を広げて、多様な価値観への理解を深める異文化交流研修

③カンボジアの地雷撤去の現状を視察する海外研修がスタート

礼拝で他者理解と自己理解を育む

 『武士道』著者で国際連盟事務局次長も務めた新渡戸稲造と内村鑑三がアメリカに留学中、キリスト教フレンド派に属する婦人伝道会に助言し、女子教育を目的として創立された普連土学園。同校はフレンド派の創始者であるジョージ・フォックスの言葉“Let Your Lives Speak.(自らの生き方をもって語りなさい)”をモットーに「自由・平等・平和・対話」を大切にしている。

 毎朝の礼拝では、生徒や教員が自由なテーマで考えていること、感じていることを話す。毎週水曜日は言葉を発さず、静かに祈りを捧げる「沈黙の礼拝」で自己と向き合う。この礼拝について、Hさん(高3)は次のように話す。「礼拝の時間に他者の話を聞くことで知らなかった視点が得られますし、たとえ自分と違う意見であっても、そうした見方もあるのかと興味深く感じます。何よりも、誰もが自分の考えを持つ自由があるのだと思えるようになりました」。

 フレンド派の精神は礼拝だけでなく、日々の学校生活にも浸透している。同校入学後の自身の変化について、Tさん(高2)は「普連土学園らしさを感じるのは、普段から決めごとを多数決ではなく、話し合いで決めること。あらゆる場面で対話をするうちに、相手に寄り添う姿勢が身に付きました」。Aさん(高3)は「開かれた考え方ができるようになりました。例えば、日本はLGBTQへの理解が十分ではないと感じていますが、性自認はそれぞれの自由でいいはず。他者はそれを尊重すべきではないかと思います」と話す。

米国名門大学での海外研修がスタート

 自分の意見を持ち、それを伝えるとともに、聞き手はその声に耳を傾けて他者理解を深める対話を尊重する姿勢は、同校の異文化交流研修を機にますます深化している。その一つが高2・3生の希望者を対象とした「スミスカレッジ プログラム」だ。期間は9日間、全米有数のリベラルアーツカレッジであるスミスカレッジで、スミス生や他校高校生とのセッションを中心としたプログラム。男女格差や女性の社会進出など、女性をテーマとしたトピックについて、英語でディスカッションを行う。Tさんは「スミス生の、他者の意見を否定せずに理解しようとする姿勢を間近にして、世の中には様々な立場の人がいるけれど、受け入れる姿勢を示すことが問題解決の手がかりになるのだと感じました」と語る。

 「セッションでジェンダーや人種、民族性など、アイデンティティの要素を学びましたが、その中に社会階層もありました。私は私立学校に通えていて、周りも自分と似た環境の人が多いけれど、アメリカでは超富裕層から貧困層まで、様々な人がいる。そうした事実があることは知っていましたが、実際にアメリカに行かなければ体感できなかったと思います」と、Hさん。現地ではボストン美術館見学やハーバード大学のキャンパスツアーも。「ハーバードでワイドナー記念図書館を訪問できて感激しました。私は大学で図書館情報学を学びたいと思っているのですが、大学受験へのモチベーションがアップしました」と、Aさんは語る。