注目キーワード
  1. 中学受験
  2. 社会
  3. イベント
  4. SDGs
【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

スクールエコノミスト2023 WEB【 法政大学中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は法政大学中学校を紹介します。

楽しい授業が英語嫌いを減らす 目指すは高い見識を持った若者の育成

<3つのポイント>

①目指すは中学で英検準2級、高校で英検2級相当の英語力

②スモールステップで英語への苦手意識を着実に克服できる授業を実践

③高校で大学レベルの英語学習にチャレンジできる「必修選択授業」

苦手意識を払拭しながら実践的な英語力を育成する

 「英語力と国際性」「コミュニケーション能力」「豊かな感性」を養うことを目指し、英語教育に力を入れる法政大学中学校。英語科の西田美弥教諭は「中学の英語授業だけで十分に英検準2級レベルに到達できる力がつくと自負しています」と語る。

 2020年度から小学校で英語教育が必修化となり、中学入学時点で英語に親しんできている一方、苦手意識を持つ生徒は、実はとても多い。同校でも入学時点では英語の好き嫌いが二極化しているという。英語に対するネガティブイメージを払拭するために、同校では「楽しい英語授業」を重視している。「アルファベットは書けるはず」「この単語は知っているはず」といった前提は一切なくし、ゼロから英語学習をスタートする。

 中1の導入期ではゲーム要素も交えながら成功体験を積み、達成感を得られるような授業を展開。さらに毎回、復習も兼ねて過去に習った文法や単語を用いて話す・書く機会を設け、英語に慣れながら徐々に社会にも視野を広げて自分の意見を英語で表現できるようになることを目指す。

 中学英語の集大成となる中3では、「MY DREAM」「SCHOOL TRIP」「MY MESSAGE」などのテーマのもと、英語プレゼンテーションにチャレンジする。修学旅行で訪れた広島・長崎での経験を元に平和問題を訴える生徒、ニュースをきっかけに知った動物の殺処分への見解を述べる生徒など、それぞれが抱いた問題意識を自分なりに深く掘り下げ、英語で語れるまでに成長。「中3段階ともなれば、中1からの積み重ねがあるからこそ、原稿を見て話すのでなく、暗記して話すのでもなく、自分の思いを英語で話せるようになります」と、西田教諭は強く語る。

授業には「話す」機会をふんだんに取り入れる

スキルとしてだけでなく、知性に磨きをかける英語を

 高校では教科学習以外にも英語に磨きをかけられる学びの機会がある。高2・3の「必修選択授業」だ。自然科学や人文・社会科学、語学など、多様な領域から選択できる。なかにはマスコミやビジネス、法学や簿記など、大学で学ぶ教養の入門的な内容を学習できる。大学のようにテーマごとにゼミが設置され、文献の輪読や調査、討論・発表などをするものもある。英語科目では「Critical Reading and Writing」「Discussion and Debate」「English Language Literacy」「原書講読演習ゼミ」など、大学での学問や研究に不可欠なアカデミックスキルを養えるハイレベルな授業が開講されている。「原書講読演習ゼミ」では、第一次世界大戦中に起こったクリスマス休戦をモチーフにした『War Game』、キング牧師の半生を描いた『I Have a Dream』を取り上げて輪読。各々に割り当てられたページについて、他の文献やインターネットから当時の背景や社会について情報収集し、オープンクエスチョンを盛り込んだレジュメを作成して議論を交わす。西田教諭は「語学習得だけでなく、英語を通じて高い見識を持った若者の育成を目指す。これこそが法政の英語教育です」と語る。