【ニュースがわかる2024年7月号】巻頭特集は「沸騰」する地球の未来

スクールエコノミスト2024 WEB【東邦大学付属東邦中学校編】

スクール・エコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は東邦大学付属東邦中学校を紹介。

体験学習が現実の社会と教室を結び、生徒たちの好奇心、冒険心を育む

<注目ポイント>

①歴史の知識を定着させ、仲間との交流を深める「鎌倉散策」

②文学の舞台を歩いて知見を深める「東京探見・物語散歩」

③OBの宇宙飛行士誕生をきっかけに始動した「宇宙プロジェクト」

自分で確かめることの大切さを学ぶ

 東邦大学付属東邦が重視するリベラルアーツ教育では、同校ならではの独自の体験学習を多数用意している。たとえば中学の社会科では、中1の希望者を対象にした「鎌倉散策」を実施している。これは20年以上前から始まった伝統行事の一つで、希望制ながら毎回100名以上の生徒が参加するという。そもそもは、歴史の授業で学んだ鎌倉時代の内容を、実際に現地へ足を運ぶことで再確認し、覚えた知識を定着させることが狙いだが、新年度のクラス替えを控え、1年間一緒に過ごした仲間との親睦を深めるよい機会にもなっている。当日は、鎌倉時代後期に創建された円覚寺や、源頼朝とゆかりの深い鶴岡八幡宮、長谷の大仏とも呼ばれる鎌倉大仏など、鎌倉の歴史的名所を見学する。午後からは桜の名所としても知られる源氏山をハイキングしたり、江ノ電に乗って江ノ島に行くなど、周辺まで足を伸ばすこともあるという。

 「生徒たちは授業で鎌倉時代の歴史を学んでいるので、海や山に囲まれた鎌倉ならではの地形を体感し、歴史的な名所を見て時代背景を連想したりして、興味関心を広げてくれれば」と社会科の加藤充教諭。歴史の知識を自分のものとして定着させるには、教科書で学んだことを鵜呑みにするのではなく、ときには現地に足を運んだり、様々な資料を調べたりして、自分の目で見て確かめ、行動する姿勢を培ってほしいと期待を込める。

街歩きで読解力や洞察力を鍛える

 同校には教員の専門を生かし、生徒の好奇心を刺激する体験型の取り組みもある。例えば子どもたちの読書離れ対策から始まった「東京探見・物語散歩」は、国語科の堀越正光教諭の引率で年3回ほど行っている希望制の課外活動だ。小説や伝説など、物語に描かれている東京の街を、作品の具体的描写と比較しながら歩く。昨年は、四谷近辺や、本郷・茗荷谷・小石川界隈を巡るコースなどを散策。

 参加者は堀越教諭が自作した冊子を片手に、小説のあらすじや作者にまつわる解説などを聞いて知見を深めていく。堀越教諭は、「物語にゆかりのある場所を実際に歩き、作者や登場人物に思いを馳せることで、目にした光景と小説がシンクロし、さらなる興味が湧いてくる」と街歩きの楽しさを語る。実際、生徒同士で本の情報を交換し合ったり、先生の知らない本を生徒が教えにくることもあるように、この活動を通して実社会を複眼的に見る目を育んでいくのだ。