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スクールエコノミスト2023 WEB【麻布中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は麻布中学校を紹介します。

子どもの探究心と体力を無限に伸ばす 「最終学歴は麻布」という誇りの教育

<3つのポイント>

①中1の社会科「世界」の授業で、世界を俯瞰する眼を養う

②高1の社会科「基礎課程修了論文」で深い考察力を習得

③選択科目「教養総合」で未来のキャリアを見据えた教養を培う

国際色豊かな麻布という立地で世界を俯瞰する視野を身につける

 外国人が多く暮らし、世界の大使館が集まる国際タウン麻布。グローバルな視野と国際感覚を育むには申し分ない立地の麻布学園には、中1社会に「世界」という科目がある。特筆すべきは世界の地理、歴史の分野を統合し、入学直後に全体像を把握して「世界を俯瞰する眼」を養う点だ。課題の一つである夏休みの「仮想旅行記」のレポートでは、自分で行き先を決め、架空の旅行記を書く。書くためには詳しく現地のことを調べる必要があり、自ずと歴史や地理、習慣などを理解する。こうして大まかながらも世界についての指南図を手に入れることが、社会科への興味を刺激し、知識を深める一助になるのだ。

 麻布では、考察したものをアウトプットする手段として“書く”ことにこだわっている。例えば中3国語では、「卒業共同論文」という課題がある。これは、教員が課題図書を指定し、その中から4~5人が一つのチームになって1冊を選び、論文を書き上げるというもの。国語科の松田隆教諭は、「共同で書く卒論は、他者との情報交換や作業分担をすることで、よりハイクオリティな論文に仕上がることを体感してもらう貴重な機会」と話す。名だたる文豪の作品をつぶさに見つめ、様々な角度から考察した論文はどれもハイレベル。卒業生の中には「大学の卒論よりも大変だった」と話す生徒もいるほどだ。

「修論」で書く力をブラッシュアップ キャリア教育も見据えた「教養総合」

 高1の学年末には、自らテーマを設定する社会科「基礎課程修了論文」(通称「修論」)を執筆する。これは、資料を集めて取材をし、参考文献も記した本格的な論文だ。テーマは「冤罪から見る司法の闇」「ソ連崩壊と民族問題」「知的財産権の国境とは何か」など多岐にわたり、優秀な作品は毎年発行される校内冊子『考える葦』に全文掲載される。論文執筆に不可欠な筆力や作法は、中学段階から習得させているため、大学院レベルの優秀な論文もあるというのもうなずける。

 さらに名物授業の一つとも言える「教養総合」では、高1、高2の生徒が関心のあるテーマを選択して授業を受ける。中でも多くの生徒が参加するリレー講座では、一つのテーマについて8人の外部講師を招き、深掘りする授業を展開。「会計とは何か」「雇われるんじゃない、仕事をつくるんだ」「理系的地球の歩き方」などがあり、講師は各界の第一線で活躍する若手OBも多い。生徒自身が未来の進路を見つける機会にもなっている。

中3の卒業共同論文は装丁も立派