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スクールエコノミスト2023 WEB【城北中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は城北中学校を紹介します。

「やってみたい」気持ちを応援する校風 ICTが生徒の挑戦を際限なく可能に

<3つのポイント>

①好奇心や思考力を刺激し、生徒が持つクリエイティビティを重視

②中学の総合学習「情報」でICT教育の基礎から応用まで学ぶ

③自由度の高い授業で、メンターとして生徒に寄り添う教員たち

アメリカ・MIT Lab訪問から理想の教育の姿を追求する

 「人間形成と大学進学」を教育目標に掲げる城北中学校。同校では未来を生き抜くための教育は知識だけでなく、好奇心や思考力を刺激し、「自ら考え」「生み出し」「発信する力」を養うことが大切だと考える。

 同校が注力するICT教育でも、技術・技能はあくまでも学びを実現するための基盤であり、充実した設備は“理想の教育”を支えるものと位置づけている。これらを実践する端緒となったのはICT委員長だった清水団教頭が2016年に私立学校の視察で訪れたアメリカでのMIT Labのミッチェル・レズニック教授との出会いだった。当時、清水教頭は学びを進める際、最優先すべきは、基礎の鍛錬か、生徒のやりたいことや好奇心か、に苦慮していた。「教授は、これからはクリエイティブな考えと行動が欠かせないと説くとともに〈4つのP〉としてProjects(プロジェクト)、Passion(情熱)、Peers(仲間)、Play(遊び)を教えてくれました。仲間と共に情熱や遊び心を持って課題解決に挑戦することが、生徒の飛躍へとつながるということです」。まさに理想の教育の姿を指し示すこの言葉に力を得て、生徒が持つクリエイティビティを最重要視し、4つのPを取り入れた学びのサポート役としてICTを駆使する。これが同校ICT教育の根幹となっていった。

受験生にも人気の広い人工芝のグラウンド

無限の可能性を拡げるICT教育と創造性を発揮する生徒たち

 ICTを〈ワクワクするためのツール〉と捉える同校のICT教育の象徴ともいえるのがiRoom。iPad ProやMacBook Air各50台をはじめ、壁三面のホワイトボード、複数の大型モニターやプロジェクター、人数に合わせて組み合わせ自由な勾玉型可動式テーブル、小型のホワイトボードなどを備える教室だ。ここでICTの基礎から応用までを中1~中3の総合学習の「情報」の授業で学んでいく。内容は、動画や音楽制作に取り組む「クリエイティブ」を中心に「リテラシー」「プログラミング」「プレゼンテーション」「PBL(問題解決型学習)」の5つがあり、その集大成として中3で「卒業研究・卒業制作」を行う。

 3学期にクラス内でのプレゼン発表で代表者を選出し、修了式ではICTをフル活用した発表会に臨む。研究テーマに縛りはなく、生徒の「やってみたい」情熱を最優先。昨年度は陸上部の生徒が実演を交え、物理エネルギーなどにも言及した走り方の研究「ストライドを伸ばしたい!」のほか、「リスニングを学ぶ」「世界の親衛隊とその興亡」「日本のHipHop文化について」など自由に、生徒一人ひとりが個性を生かした研究をクリエイトした。