【ニュースがわかる2024年6月号】巻頭特集は地震大国ニッポン 被害を減らすために

スクールエコノミスト2023 WEB【芝浦工業大学附属中学校】

スクール・エコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は芝浦工業大学附属中学校を紹介します。

テクノロジーを活かした未来創造力で社会課題の解決にチャレンジ

<3つのポイント>

①2021年より2つのPBL型探究からなる「SHIBAURA探究」を開始

②探究IT・探究GCの学びを駆使し、社会課題の解決に取り組む

③自ら学びをデザインする「SD」で主体的に学ぶ力を育成

男女共学化でカリキュラム刷新 社会課題をテクノロジーで解決する「IT」

 2021年4月、共学化を機に、探究を核とした「SHIBAURA探究」の授業をスタートした芝浦工業大学附属中学高等学校。同校の強みである「STEAM教育」のみならず、PBL(問題解決型学習)を取り入れた学びで未来を創造する人財育成を目指す。

 「SHIBAURA探究」は、「IT(Information Technology)」と「GC(Global Communication)」の2つの学びを導入。中3の1学期までそれぞれ週1時間が充てられている。

 「IT」の授業では、“理工系の知識で社会課題を解決すること”が目標だ。探究科主任の岩田亮教諭は、「おもしろい、楽しいと感じることが生徒の学びを進める」という考えのもと、「ワクワク感と学びをつなげること」「SHIBAURAにしかできない探究をすること」を重視し、生徒の興味を引きやすいテーマでプログラムを作成。最先端のIT機器を駆使した授業は、どれもワクワクしながら遊び感覚で学べる内容で、アンケートでは生徒たちの9割近くが「非常に満足」「満足」と答えている。

 例えば、中1の1回目となる授業では、宇宙空間で実際に起きた事故を題材にした映画『アポロ13』を鑑賞したあと、「ものづくりにおいて大切だと思ったこと」を3つ書いて提出する。エンジニアの倫理思考を漠然とながら考察するのに役立つという。

 3回目の授業である「ドラえもんになってもらいます」では、ドラえもんのストーリーに登場するシーンをもとに課題が出される。一人ひとりがオリジナルの「秘密道具」を絵に描き、どんな機能があって誰のためにあるのかを考える。ゼロからアイデアを考えることは簡単とは言えないが、チームごとによいアイデアを選んでブラッシュアップし、協働してアウトプットするプロセスを学んでいく。

 プログラミング初心者でも楽しく覚えられるよう開発された言語「scratch(スクラッチ)」を用いてゲームを作成し、そこで覚えたscratchを使ってドローンの飛行に挑戦する授業もある。この授業のゴールは、ドローンをただ飛ばすだけではない。2人1組がチームとなってプログラミングを使い、最終的には宙返りさせるなど、30もの飛行制御ミッションをコンプリートすることが目標だ。生徒たちの中には、ほんの数分でプロペラ音を響かせてドローンを飛ばすチームもあれば、うまく指令が届かず、悩むチームもある。教員は子どもの主体性を重視しているため、たとえ上手に飛ばせなくてもどうすればいいかを自分たちで考えさせる。

 生徒たちは最初に立ち戻り、仮説を立て、再検証してソースコードを確認する。頭の中で考え抜いた末にドローンを指令通りに飛ばすことができると、自然と「やったー!」という達成感あふれる声が聞こえるという。プログラミング学習はモニタ内で完結させることも可能だが、あえてドローンのような実機を使用する理由について、岩田教諭はこう語る。「エンジニアや研究開発者にとって、プログラミングを実機に転送してトライアンドエラーを繰り返すことは基本中の基本。万が一、入力したソースコードが誤っていたら人を傷つけたり、物を破損したりする恐れもあり、生徒にはそうした肌感覚を早い段階から味わってほしい」。

 さらに、学校だけで完結する授業ではなく、社会との接点を持つことの意義を重視。3学期には、現場の担当者を呼んで企業が抱える課題をヒアリングし、生徒が解決策を探る授業も実施。チームで協働して課題を検討し、アイデアを提案するのは社会人として必要不可欠なスキル。そこへITの高度な知識が加わることで、社会問題を解決する引き出しの一つになるのだ。

〈SHIBAURA探究DAY〉探究発表では、プレゼン、ポスターセッション、動画と様々な手段で活動成果を発表