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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

スクールエコノミスト2023 WEB【芝浦工業大学附属中学校】

豊洲から地方へ視野を広げる探究「GC」で多様さを理解し世界で活躍する人材を育成

 もう一つの探究「GC」のカリキュラムは、学年を経るごとに子どもたちの視点が豊洲から東京、地方、そして世界へと広がっていくようデザインされているのが特徴だ。中1は「TOYOASOBI」というテーマで学校周辺を街歩きすることからスタート。50~60年前の豊洲と、現代の地図を併記した「探Qマップ」を片手に、自分たちがどのような場所と時代にいるのかを考察する。さらに水陸両用バス「スカイダック」で海から湾岸エリアを知る授業や、この地に集積する重工業や水産業などの企業訪問をする機会もある。

 中2では、フィールドを地方(長野県)に移し、りんご農家などを回って各地域の課題を解決するためのアイデアを模索。生徒自ら廃校利用、環境、農業、スポーツなど興味関心に沿った行き先を選び、高校探究につなげる狙いもある。中3の9月には、アメリカのシアトルをはじめとする4か所への海外教育旅行を実施予定。

 探究GCを統括する金森千春教諭は、この2年間、探究活動を経験した生徒の成長は目を見張るものがあるという。「課題解決に対する取り組みが主体的になり、プロジェクト型学習を回す力がついてきているのを実感しています。特にグループ学習での各自の取り組みは安心して任せることができる。どんな場面でも考えて悩み、試行錯誤することをいとわないのが芝浦生の特徴。今後も生徒と一緒に授業を作ることを大切にしていきたい」と話してくれた。

探究IT・GCで身につけたスキルを活かし、2年半の総まとめを行う「総合探究」

 ITとGCでの学びは、中3の2学期から始まる「総合探究」で花開く。2年間で身につけた技術や思考、表現方法を駆使し、各自が課題を見つけ、解決に導くプレゼンテーションを行う。興味深いのは、発表の形式が決められていないこと。絵画や動画、ものづくり、音楽などどんな形式のプレゼンが飛び出すのか、これからの中3生の活躍ぶりが期待されている。

「SD」で自らの弱点を発見して分析し自らの学びをデザインして主体性を養う

 さらに「日々の授業」に重きを置く同校では、先取り教育をやめ、主要5教科を4時間に縮小。授業の密度を濃縮させることで、生徒が主体的・効果的に勉強を進められる「SD(Self Development:自立学習)」の授業を設定。週2~3時間のSDの授業は、オリジナルの「芝浦HR学習ノート」やITアプリなどを使い、何を学習すべきかを考え、自らの学びをデザインする。

 時間の使い方は生徒により異なり、宿題をする子、授業の復習や応用問題に挑戦する子、プレゼン資料の作成をする子、英検の勉強をする子など様々だという。

 主要科目の授業時間を短縮する分、勉強の遅れをフォローする体制も万全だ。

 放課後に教室を開放して実施する「学習サポート」は、芝浦工業、早稲田、東京理科、東京工業など名だたる大学の現役生がチューターとして学びをサポート。先輩の姿を間近にした生徒たちは、勉強以外の大学生活についても気軽に質問。学習へのモチベーションが上がると好評だ。

 こうした手厚い指導により、生徒の約8割が理工系大学に進学。高2からは芝浦工業大学への推薦進学を目指す「一般理系コース」や上位大学を目指す「特別理系コース」「文系コース」もあり、ここ数年、国公立や難関私立大学などへの合格者が増加するなど、高い合格実績を誇っている。

 「SDの導入によってこちらが働きかけなくても勉強する生徒が増えている。彼らの学ぶ意欲も高まり、さらなる相乗効果が生まれています」と斎藤貢市教頭はいう。芝浦ならではの芝浦でしかできない教育。生徒の秘めた力を最大限伸ばす、理系屈指の学校がここにある。

(文/佐久間香苗)

●学校データ

所在地       〒135-8139 東京都江東区豊洲6-2-7

TEL         03-3520-8501

学校公式サイト   https://www.fzk.shibaura-it.ac.jp

海外進学支援    有

帰国生入試     有

アクセス

豊洲駅(東京メトロ有楽町線)徒歩7分

新豊洲駅(ゆりかもめ)徒歩1分

国内外大学合格実績(過去3年間)

芝浦工業、東京工業、東北、筑波、東京農工、信州、慶應義塾、早稲田、上智、東京理科など