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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

スクールエコノミストWEB【日本大学第二中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は日本大学第二中学校を紹介します。

全人教育を堅持した教育改革がスタート 自ら走ることができる生徒を育てたい

<3つのポイント>

① 一人ひとりの個性と多様性を尊重する、おおらかな校風

② SDGsをテーマにした卒業研究で、課題発見・解決力を強化

③ 高2から始まる3つのコースでの学びで、目標大学へ進学

一人ひとりの個性を尊重することで多様性が溢れた学校風土

 4万m²を超える広大な敷地内は緑に溢れ、42本の銀杏並木が四季折々の美しい姿で学生生活を彩る日本大学第二中学校。「本校は創立以来、生徒の多様性を重視してきました。生徒一人ひとりが持つ個性を認め、人間性を尊重して、どの生徒も分け隔てなく公平な目で育てていく。これが、本校の基本姿勢です」と話すのは、中島正生高等学校長。授業はもちろん、行事や部活動もまた大切な教育と位置づけており、23の運動部と19の文化部の中には中高合同で活動する部も多い。

 先取り学習はせず、中学では基礎基本および学習姿勢の定着に注力する。二高進学時は高入生との混合クラスでスタート。新たな価値観との出逢いのなかで成長を果たす。

学力を進化させる教育改革がスタート 卒業研究のテーマはSDGs

 昨年、新たな教育改革がスタートした。その1つが入学後の1学期中間試験終了後からの積み上げ教科である英数での分割授業の導入。週の2時間だけ学力に対応した授業を展開する。軸足は多様性に富んだクラス編成に置きつつも、学力差が小さい段階での細やかなフォローアップが目的だ。また、2年生を対象にした勉強合宿も実施し、基礎学力の定着とベースアップを徹底的に図る。

 さらに課題発見・解決力や教科統合型思考力、表現力の向上を目指して、中学3年間の総括となる卒業研究も導入した。SDGsをテーマとし、学園祭、道徳やLHR等での探究学習で問題意識を高めていく。その学びを踏まえたうえで、生徒たちは17の目標の中から自らの興味関心に従って1つを選び、調べ学習を行う。そして成果をポスターにまとめ、800字程度の原稿を用意して中間発表を行う。最終的には2,000字の論文にまとめる。

卒業研究発表の様子

 これまで同校では、朝学習で新聞コラムの書き取りや、行事ごとに課す200字の作文などを通して日常的に「書く力」を培い、人前で自分の考えを発表することや他人の意見に耳を傾ける場として全学年で弁論大会を実施してきた。「今後は、中1・中2においては弁論大会を継続、中3は卒業研究の発表の場としました。2年間の積み上げをもとに、エビデンスに基づいて導き出した発表の場となり、生徒の表現力や傾聴力のさらなる成長を期待します」と中島校長は語る。

 昨年度はコロナ禍によるオンライン授業のため、計画していた対面での細やかな指導ができず、予定していたグループワークもできなかったが、生徒たちは想像以上に主体的に研究を進めていた。「嬉しい驚きと、私たち教員が指導しなければという固定観念が反って自主的な学びの芽を摘んできたのではないかという反省にもつながりました。今年度以降は、状況を見ながらグループワークの導入を図り、見守る姿勢を強めたい」という。