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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

コロナ対策やICT教育でエキスパートが「推す」学校は? 【首都圏オススメ私立中学ランキング①】

来年の中学受験も人気になりそうですが、この時期は受験勉強に力が入る頃です。同時に志望校を絞る時期でもあります。学校選びはいつでも迷うものです。そんな時に役立てたいのがエキスパートの意見。「サンデー毎日」と大学通信は首都圏の学習塾の塾長・教室長に緊急アンケートを実施。289学習塾がオススメする中学校はどこか、ランキングでご紹介します。

 中学受験人気が続いている。首都圏模試センターによると、2022年も志願者は増え、これで7年連続の増加だ。首都圏の私立中・国立中の志願者は、昨年より650人増えて5万50人になった。志願者が5万人を超えるのは2007年以来14年ぶりだ。首都圏の小学校6年生の私立中受験率も、昨年の16.62%か16.86%に上がった。

 この人気の理由はコロナ禍が大きい。昨年は3カ月近くの休校期間があった。対面授業ができずに、各校は急きょ、オンライン授業を取り入れた。しかし、私立中といってもICT教育は各校ばらばらだ。生徒全員にタブレットなどの通信機器を持たせている学校は少ない。学校も手探りで自宅にパソコンなどがあるのか、通信環境はどうかなどを調査した上でオンライン授業に踏み切った。さらに、通っている公立小などの対応がプリントを大量に送り、家で自習という学校もあった。保護者は公立中に進学しても同じ状況になるのではと不安に思い、中学受験を目指した家庭も多かったという。

 この私立中人気は来年も続くのだろうか。「サンデー毎日」と大学通信は首都圏の学習塾の塾長・教室長に緊急アンケートを実施し、289学習塾から回答を得た。項目別に学校を5校連記で記してもらい、最初の一貫校を5㌽、次を4㌽……として集計した。

 まずは表1の「オンライン授業で生徒・保護者から高評価を得た」を見ていこう。トップは青稜、次いで広尾学園、開智未来、常総学院、駒込の順となった。青稜の募集広報部部長の伊東充教諭がこう話す。

「ICT教育にそれほど力を入れていなかったのですが、昨年のコロナ禍から教職員一丸となって態勢を整え、まずはオンラインで休校中の生徒と朝礼をはじめ、4月中旬には、高3生からオンライン授業をスタートさせました。ICTの担当を決めず、教職員全員で取り組んだことで当事者意識が高まり、紆余曲折はあったもののうまくいきました。ただ、授業は今まで通りの授業をする先生、ネットを活用する先生などバラエティーに富むことになりました」

 また、学習塾関係者は「感染が拡大して年明けの2月1日からの入試が行えるかどうか、不安な受験生や保護者に、オンライン入試を実施すると発表したことでも注目を集めました」という。青稜はオンライン入試の実施を早々に打ち出し、最終的には実施しなかったが、すぐにコロナ禍への対策をとったことで、学習塾からの評価も高くなった。

 2位は早くからICT教育に取り組んできた広尾学園だ。生徒全員にタブレットを持たせ、授業などで活用してきた。休校中は徹底してオンライン授業を実施した。また、オンライン授業の必要性について安田教育研究所の安田理代表がこう話す。

「休校明けには分散登校になりました。そのため午前、午後に分けて登校させた学校では、授業が3時間、通学時間が片道1時間半だと、コロナへの感染リスクを抱えながらの登校で、しかも往復3時間も要しますから、オンライン授業へのニーズは休校期間だけにとどまらなかったのです。今年もそうでしたが、来年入試でも、より通学時間の短い学校が人気になりそうです」【大学通信・安田賢治】

(「サンデー毎日」2021年10月3日号より)

※写真は検温後、熱がないことを示す「検温確認テープ」を手首に巻いてもらう受験生ら=大阪市天王寺区の四天王寺中学で2021年1月16日

次回は10月27日に配信予定です