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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

努力しない人が貧乏になるの?【井手英策さん ふつうに生きるって何?#2】

努力しない人が貧乏になるの?

 格差社会で人は幸せになれるのか。気鋭の財政社会学者、慶応大教授の井手英策さんは「格差はキミのせいではない。幸せになるチャンネルは身近に幾つもあって、それに気づく力をもっているかどうかだ」という。そんな思いを小学生にも伝えたいと、「ふつうに生きるって何? 小学生の僕が考えたみんなの幸せ」(毎日新聞出版)を今年2月に出版した。格差社会を生き抜くために必要な力とは――。井手さんに聞いた。【#2】

#1はhttps://www.newsgawakaru.com/?p=1944

 ――コロナ禍の教室で「格差」を感じている子どもが少なからずいると思います。子どもたちはどう考えるべきなのでしょうか。

【井手】 その格差は誰のせいなのでしょうか。世の中の人はすぐ「格差は本人のせいだ」という。「努力しなかったから落ちこぼれたし、努力しなかったから貧乏になった」という。でも、僕に父親がいないのは僕のせいではない。

 格差は実は、運と努力の双方で決まるのだと思います。努力した結果、上に行く人、行けない人がでてくる。これは仕方のない格差だと思います。頑張った人がよりいい所に行ける。そうでないと誰も努力しない

格差は君のせいじゃない!

 でも僕の経験でいえるのは、運で決まる格差と努力で決まる格差は分けられない。僕は東大に行きました。でも頭の良し悪しって運じゃないですか。もちろん努力もしましたが、努力だけではなく、そこには運も絶対に入っている。運で決まるのか努力で決まるのかは、絶対に分けられない。

 だから、差をつけられている子どもがいるとしたら、「絶対に自分を責めてはいけないよ」と言いたい。

 貧乏な家に生まれたとか、障害があるとか、それは君たちの責任じゃないだろう。親が勉強をさせてくれなかった、塾に行かせてくれなかった、それは君たちのせいじゃないじゃないか。

 差を感じたときにはもっと自分に優しくなっていい。