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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

気になる数字「10.2日」 収入の水準を比較

週刊エコノミスト編集部が執筆する毎日小学生新聞「15歳のニュース」内コラム「これって経済? 」は、経済にまつわる数字を解説します。

今回の気になる数字は「10.2日」。収入の水準が比較できるということですが、そもそも単位が「円」でも「ドル」でもありません。「収入の水準を比較」するのに、なぜ「日数」なのか、詳しくみてみましょう。

 今回の数字は「10.2日」。

 日本人がアップルのスマートフォン「i(アイ)Phone(フォーン)」を手に入れるために働かなければならない日数です。

 ポーランドのネット企業(きぎょう)ピコディ・ドットコムは、各国で平均的な賃金を得る労働者が〝iPhoneを買える金額を稼(かせ)ぐのに必要な日数〟を「iPhone指数」として公表しています。

 国を問わず人気のiPhoneは各国の収入水準を比較する物差しになります。直近の指数は2021年秋に公表され、「iPhone13Pro(128㌐)」(約12万円)の価格を基準に47カ国を比較しました。1カ月の労働日数を20日とすると、「10・2日」の日本では半月の労働で手に入る計算となります。

 世界最短は4.4日のスイスで、1週間働けば買えるほど収入は高い。次いで米国の5・9日、豪州(ごうしゅう)とルクセンブルクの6.4日と続きます。10日以内で買える上位国はデンマーク(5位)など北欧(ほくおう)諸国や、カナダ(8位)など先進国が多数を占(し)めました。14位の日本は今年円安が進んだため、次は順位を下げそうです。

 下位で注目すべきは31位中国の24.4日、40位ロシアの42.1日、そして44位インド、45位ブラジルの70日以上と、今世紀高い経済成長を見せたBRICs(ブリックス)の日数の長さだ。

 屈指(くっし)のGDP規模を持ちながらiPhoneが意外なほど「高根の花」なのは、人口は多いが1人当たり所得が低いことに加え、貧富の格差が大きいことを示唆(しさ)しています。

(毎日小学生新聞 22年8月27日掲載より)


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