【ニュースがわかる2024年10月号】巻頭特集は「発明が世界を変える」

新生ラグビー「リーグワン」開幕!【ニュース知りたいんジャー】

ラグビーの新しいリーグ「ジャパンラグビーリーグワン」が8日、各地で計3試合が行われて開幕しました。2003年から続いてきたトップリーグ(TL)が生まれ変わりました。どんな特徴があるのでしょうか。【篠口純子】

◇どんなリーグなの?

 リーグワンは3部制で構成されています。1部に12チーム、2部に6チーム、3部に6チームの計24チームが所属します。2003年に社会人チームによるTLが開幕しました。これまでは最上位のTLに16チーム、2部に当たるトップチャレンジリーグ(TCL)に9チームが所属していました。TLは日本ラグビー協会、TCLは関東、関西、九州の協会が主体でした。リーグワンは、これを一つに統合しました。1部にはTLの21年シーズンで優勝した埼玉パナソニックワイルドナイツ、準優勝の東京サントリーサンゴリアス、パナソニックとサントリーに並ぶTL優勝最多5回の東芝ブレイブルーパス東京などが入りました。1部は各6チームの2組に分かれ、同じ対戦相手と自分と相手の本拠地で2回試合をする「ホームアンドアウェー方式」のリーグ戦で戦います。別の組のチームとも1試合ずつ交流戦を実施するので、各チームはレギュラーシーズンで16試合を戦う予定です。上位4チームが王者を決めるプレーオフトーナメントに進出します。入れ替え戦は毎年実施します。

◇TLとの違いは?

 TLは企業スポーツとして発展してきましたが、リーグワンでは地域に密着し、ファン、企業、地域と一体になってラグビーの価値を高めていくことを目指しています。チームの名前に、東京、埼玉、船橋など、本拠地の地名を入れることにしました。活動地域は「ホストエリア」と呼び、そこを中心にラグビーの根を広げていく狙いです。しかし、1部の12チーム中8チームのホストエリアが首都圏の1都3県にあり、うち5チームは名前に「東京」がついています。これは各チームの練習拠点がこれまでと同じく、首都圏に多い企業のグラウンドだからです。サッカーの場合、Jリーグは全国各地に広くクラブが存在し、地域に根付こうとしています。その点はリーグワンの課題として残っています。

◇日本代表のレベルアップにつながるの?

 リーグワンはミッションの一つに、日本ラグビーの質と技量の向上を図り、世界への飛躍を掲げています。そのためにも、海外の強豪チームとの対戦は貴重な機会です。シーズン終了後に1部の上位チームが海外の強豪チームと対戦する「クロスボーダーマッチ」を考えています。「クロスボーダーマッチ」が実現すれば日本ラグビーのレベルアップにつながりますが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、正式には決まっていません。日本は2019年の自国でのラグビー・ワールドカップ(W杯)に向け、16年からサンウルブズを結成して南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」に参入しました。強豪国のニュージーランドやオーストラリアのチームと日常的に試合をして世界のトップレベルの技術を肌で感じることができました。しかし、20年限りで活動を事実上終えたため、海外のチームと戦える場は限られています。

◇選手はプロ?それともアマチュア?

 TLの時から、プロ契約の選手と、企業で働きながらプレーするアマチュアの社員選手が混在していました。新リーグの構想が持ち上がった当初は「プロリーグ化」がうたわれていましたが、チームを運営する企業側の反対もあり、今まで通りの形になりました。静岡ブルーレヴズと東芝ブレイブルーパス東京のように独立採算を目指して分社化したチームもありますが、大きな変化にはなっていません。長い間、ラグビー界はアマチュアであることを基本としていました。1995年に当時の国際ラグビー機構(IRB、現在のワールドラグビー)がアマチュア規定を撤廃すると、海外ではプロ化が進み、レベルが一気に上がりました。プロ化の流れに乗り遅れ、世界との差を感じた日本は、2001年に選手とプロ契約を結ぶ制度を導入しました。

◇ラグビー人気は高まるのかな?

 1987年から始まったW杯で、日本は世界にまったく歯が立ちませんでした。95年の第3回大会ではニュージーランドに17対145で敗れ、W杯史上最多失点となってしまいました。ラグビー人気は低迷しました。1勝21敗2分けでのぞんだ2015年の第8回大会で、優勝候補の南アフリカを破りました。初勝利から24年ぶりの勝利でした。19年の日本大会では史上初のベスト8入りを果たし、「にわかファン」という言葉も生まれるほどラグビー人気が高まりました。20年1月のトヨタ自動車―パナソニック戦は、TL史上最多の3万7050人の観客数を記録しました。しかし、20年春に新型コロナが広がり、TLはシーズン途中で中止に追い込まれました。21年10月23日、大分でオーストラリア戦が行われましたが、日本代表はテストマッチ(国・地域の代表戦)を国内でほとんど実施できていません。23年にはW杯フランス大会が開かれます。リーグワンはもう一度、ラグビーに注目してもらう絶好の機会になりそうです。(2022年01月12日掲載毎日小学生新聞より)