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磁石はどうやって作る? 【疑問氷解】

Q 磁石はどうやってつくるの? 北極と南極の石でできているのかな?(神奈川県、小3)

■強い磁力の中に鉄を置く

 A 磁「石」と言うからには、どこかからそういう石を探してくるのかな、と思いますよね。磁石に関する研究者や会社の人たちでつくる日本磁気学会の押木満雅事務局長に話を聞きました。

 結論から言うと、ほとんどの磁石は自然界にある石ではありません。みんなが学校や家で使っている黒い磁石は、鉄の一種の粉と別の物質の粉を混ぜて焼き固め、着磁機という機械で生み出した強い磁力の中に置いて人工的に作ったものです。

 どうして磁石ができるのでしょうか。実は鉄は目に見えないほど小さな磁石が集まってできています。ただふだんは小さな磁石の向きがばらばらで、磁石の性質を打ち消しあっています。ところが強い磁力の中に置くなどすると、小さい磁石の向きが同じ方向にそろい、鉄全体が磁石の性質を持つようになります。クリップや針などを磁石で何度もこすると、磁石の性質がうつるのと同じ仕組みです。

 自然界にも磁石はあります。磁鉄鉱という鉱物で、雷が落ちたときのショックで小さい磁石の向きがそろったと考えられています。鉄などを含む溶岩が冷えて固まるとき、地上の磁力の影響を受けて磁石になるものもあります。ただ、磁石の力はそれほど強くありません。

 磁石にはN極とS極があって、それぞれ北と南を指します。これは、地球全体が大きな磁石になっていて、北極近くがS極、南極近くがN極になっているからです。また、磁石は電気と深い関係があって、磁石を使って電気を生み出したり、電気を使って磁石を作ったりできます。これらのさまざまな磁石の性質は、裏が黒い切符やキャッシュカード、コンピューターのハードディスク、電気自動車のモーター、電子レンジ、スピーカーなど、身の回りのさまざまな物に利用されていて、今や暮らしに欠かせないものとなっています。

 磁石の研究で日本は、常に世界をリードしてきました。人工的に永久磁石を初めて作ったのも、世界で一番強い磁石を開発したのも日本人なのです。研究が進めば、もっと暮らしが便利になるかもしれませんね。(「疑問氷解 Vol.9(毎日小学生新聞)」より)