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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

いま世界で水不足が深刻?水が足りないとどうなるの?

 蛇口をひねると水道から水が出るのは、日本ではごく普通のことです。自然災害が起こった時や、降水量の少なさから水が自由に使えないことがありますが、日常的に飲み水に困ることはほとんどありません。

 しかし世界には、深刻な水不足に悩まされている国がたくさんあります。ユニセフの発表によると、世界では4億5,000万人の子どもを含む14億2,000万人以上が、日々の生活に必要な水が十分にない状態にあります。衛生的ではない水しかなかったり、水をくんでくるのに30分以上かかるような生活を送っているのです。特に中東やアフリカ、南アジアの国々は、人口に比べて水がとても不足しています。

 井戸が枯れてしまうと、子どもたちは学校を休んで水をくみに行きます。雨が降らずに食料が不足すると、栄養不良や体の成長にも影響が出るだけでなく、病気にもかかりやすくなります。水が足りないと、病気を防ぐために手を洗うこともできないのです。

 世界の人口は増え続けていて、2050年には今の約1.3倍の約100億人近くになると予想されています(※1)。人が増えるとそれだけ多くの水が必要になりますが、地球上の水には限りがあります。青い水でおおわれた地球には水がたくさんあるように見えますが、そのほとんどは海水です。人が利用できる塩分を含まない水(淡水)は、地球上のすべての水のうちたった2.5%しかなく、しかもその大部分は氷河。川や湖など、人が利用しやすい状態の水は、約0.01%しかないのです(※2)。

 ところが地球温暖化による気候変動や異常気象によって、安全に利用できる水の量が減っています。また世界では、水不足が原因で国同士の争いも起きています。水が豊富な日本では危機感が持てないかもしれませんが、このままの状況が続けば、やがて日本も深刻な水不足になる可能性があります。世界の水問題を知って、普段から水をムダにしない生活を心がけましょう。(編集部)

※写真は配送用のトラックに飲料水を入れる男性=パレスチナ自治区ガザ地区で2021年10月31日撮影

※1 出典:総務省統計局「世界の統計 2021」 ※2 出典:国土交通省「世界の水資源」