平和の番人 国連の80年【月刊ニュースがわかる4月号】

血はなぜ赤い? 【疑問氷解】

Q 人間とか動物とか魚などの血は、なぜ赤いのですか?(和歌山県)

ヘモグロビンが赤いから

 A ケガをすると赤い血が出て、そうでなくても痛い傷が余計に痛々しく感じます。なぜ血は赤いのでしょうか。日本赤十字本社血液事業部経営企画課の野原康功さんは「血液に含まれている赤血球が赤いからです」と教えてくれました。

 血液にはいろいろな成分が含まれています。約55%が血しょうと呼ばれる黄色い液体で、残り約45%の大半が赤血球、そしてごくわずかの白血球、血小板からできています。このうち赤血球には、酸素と結びつきやすいヘモグロビンという物質がたくさん含まれていて、肺に吸い込んだ空気の中の酸素を体中に運んでいます。ヘモグロビンは鉄分を含んでいて、酸素と結びつくと赤くなるのです。赤血球が赤いのはこのためです。

 ちなみに、赤血球は直径が7~8マイクロメートル(1マイクロメートルは1ミリメートルの1000分の1)ととても小さく、真ん中がくぼんだ円盤のような形をしています。また、白血球には外から入ったばい菌などを取り除く役割、血小板には血管が破れたときに血が流れ出るのを防ぐ役割があります。

 なお、どの生物も血が赤いわけではありません。エビやカニ、貝、イカ、タコなどの仲間は、ヘモグロビンではなくてヘモシアニンという物質が酸素を運びます。ヘモシアニンには銅が含まれていて、酸素と結びつくと青くなります。このため、エビやカニ、貝、イカ、タコなどの仲間の血は青い色をしています。

 でも魚屋で見ても青い血は見えませんね。これは、捕まえてから死んでしまうまでに血の中の酸素を使ってしまうからと考えられています。その結果、青い血は透明になってしまいます。海の中で泳いでいるイカを見ると、エラが青くなっているのが見えることがあるそうです。

 このほか、ホヤという生き物の血にはヘモバナジンという物質が含まれていて、緑色をしているということです。【毎日小学生新聞編集部】

  ↑上の写真は赤血球だけを取り出した赤血球製剤。赤い色をしています

        

  (「疑問氷解 Vol.9(毎日小学生新聞)」より)