21年ぶり、新500円硬貨【ニュース知りたいんジャー】

新しい500円硬貨の発行が11月1日から始まりました。2000年以来21年ぶりに変更され、今回発行された500円硬貨は3代目となります。どこが変わったのでしょうか。500円硬貨の歴史を振り返ってみましょう。【篠口純子】

◇どこが変わったの?


 新しい500円硬貨のデザインは、表に桐、裏には上に竹、左右に橘が描かれています。デザインに大きな変更はありません。
 注目すべきは構造です。にせものをつくる偽造防止のための新技術「バイカラー・クラッド」(2色3層構造)を取り入れました。2種類の金属板をサンドイッチ状に重ねる「クラッド技術」でできた円板を、「バイカラー技術」で別の種類の金属でできたリングの中にはめ込みました。さらに、硬貨の側面にほどこされているななめの「ギザ」の一部を、ほかのギザと異なる形状にした「異形ななめギザ」を取り入れました。表の縁には、小さな文字で「JAPAN」が上下2か所、「500YEN」が左右2か所に加工されています。今年度は2億枚の発行を予定しています。

◇昔は500円札もあったの?


 1951年に500円札が発行されました。お札の肖像のモデルは、幕末から明治にかけて活躍した政治家の岩倉具視です。裏面には富士山が描かれています。69年にデザインが少し変わり、94年に発行を停止しました。
 500円硬貨は82年に登場しました。それまでの硬貨は100円が最高額でしたが、自動販売機が急速に普及し、自動販売機で買える商品の値段も高くなってきたことから500円硬貨がつくられました。

◇にせものを防ぐ技術は進化しているんだね


 1982年に登場した1代目の素材は白銅でした。韓国の500㌆硬貨と素材が同じことから偽造され、自動販売機で使用される被害が相次ぎました。2000年に2代目となり、銅とニッケルに亜鉛を加えたニッケル黄銅に変わりました。3代目はニッケル黄銅、白銅、銅の3種類が使われています。自動販売機は金属の電気の伝わりやすさ(導電率)でにせものを見分けるため、さまざまな種類の素材を使うことで偽造がしにくくなります。
 2代目には、見る角度によって文字が見え隠れする「潜像」が取り入れられました。上側から見た時はなにも見えませんが、下側から見た時に裏の0の中に「500円」という文字が見えます。この技術は3代目にも引き継がれ、上側から見た時は「JAPAN」、下側から見た時は「500YEN」の文字が現れます。2代目は3代目が発行された後も使えます。「古い500円硬貨が使えなくなる」などの詐欺に注意してください。

◇最初のお金は?

 古代の人たちは、ほしいものや必要なものがあった時、自分が持っているものと物々交換をしていました。日本で初めてつくられたお金は「富本銭」です。飛鳥時代の683年ごろ、中国の硬貨をモデルにつくられました。しかし、全国で幅広く使われていたかは分かっていません。本格的なお金は、708年につくられた「和同開珎」です。
 奈良時代から平安時代まで、和同開珎を含む銅銭12種類(皇朝十二銭)などがつくられました。しかしその後、約600年間は中国から輸入した硬貨を使っていました。豊臣秀吉は「天正菱大判」などの金貨や銀貨をつくりますが、お金というよりほうび用に使われました。江戸時代になり、徳川家康が日本で初めて貨幣制度を統一し、全国で使える硬貨をつくりました。明治時代の1871年に単位が「円」に統一され、硬貨の形がすべて丸形に統一されました。

◇お札も新しくなるって聞いたよ

 偽造防止のため、2024年にはお札も新しくなります。表のデザインは、1万円札は渋沢栄一、5000円札は津田梅子、1000円札は北里柴三郎に変わります。渋沢栄一は第一国立銀行や東京証券取引所のほか多くの企業を設立、経営した実業家です。津田梅子は最初の女子留学生の一人で、津田塾大学を創立するなど女性の地位向上に力を尽くしました。北里柴三郎はペスト菌の発見、破傷風の治療法を開発するなど医学の発展に貢献しました。
 新紙幣の大きな特徴は、最先端技術を用いた「3Dホログラム」と「高精細すき入れ」(すかし)です。3Dホログラムは、角度を変えると肖像の顔の向きが変わる仕組みになっています。「すき入れ」は肖像のすき入れに加え、さらに細かいすき入れ(和柄の格子模様)をほどこす予定です。(2021年11月10日掲載毎日小学生新聞より)