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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

産業がそのまま地名に!?

地名には、その土地で見られる動物や植物、地形などの自然や、歴史、文化など、さまざまな由来があります。

なかには、その土地で栄えた産業が地名になった地域もあります。

山口県の南西部にある山陽小野田市には、セメント町(まち)、硫酸町(りゅうさんまち)、火薬町(かやくまち)という、珍しい地名があります。

「セメント町」は、日本で初めて民間のセメント製造会社となる小野田セメント(現在の社名:太平洋セメント)に由来しています。初代社長は鉄道の建設にも力を注ぐなど、山陽小野田市が工業のまちとして発展する土台を作ったそうです。多くの人がセメント工場で働き、工場周辺がとてもにぎわっていたことから、地名にも使われるようになりました。

「硫酸町」は、明治時代から硫酸を製造している日本舎密製造(現在の社名:日産化学)、「火薬町」は大正時代に日本初の産業用火薬メーカーとしてスタートした日本火薬製造(現在の社名:日本化薬)に由来しています。

時代とともに製造するものが変わったり、製造量が少なくなったりしている工場もありますが、山陽小野田市は今も県内有数の工業都市です。地名に産業の歴史が刻まれていることがわかるのは、おもしろいですね。なお、大分県津久見市もセメントがまちの重要な産業になっていて、「セメント町」という地名があります。※写真は1955年11月の上空より見た市街全景と小野田港(編集部)