施行から75年 憲法って何?【ニュース知りたいんジャー】

もうすぐ大型連休が始まりますが、その中の一つ、5月3日は憲法記念日です。日本国憲法が、今から75年前に施行(法律としての効果を持つこと)された日です。憲法について、知りたいんジャーが調べました。【長岡平助】


 ◇そもそも憲法ってどういうもの?


 憲法とは、国のありかたの根本を定めた法律です。他の法律より優先され、「最高法規」ともいわれます。憲法に反する法律は許されません。
 近代の国は「立憲主義」に基づきます。国が勝手に国民の権利を奪うことがないよう憲法で縛る考え方です。ヨーロッパで生まれました。
 日本は江戸幕府が1867年に倒れた後、大日本帝国となりました。国を治める力(主権)は天皇にあると定めた大日本帝国憲法が89年に公布(法律ができたと知らせること)され、90年に施行されました。7章76条から成り、日本で初めて文章で表された近代的な憲法です。
 しかし第二次世界大戦(1939~45年)に敗れた後、日本は勝ったアメリカなどの連合国の下、憲法を変えることになりました。軍部の暴走を許したことに加え、国民の権利の保障が限られたものだったからです。
 そこで生まれたのが日本国憲法です。46年に公布され、47年に施行されました。ちなみに公布は11月3日で、現在は文化の日になっています。


 ◇憲法の特徴は?


 日本国憲法は前文と11章103条から成り立ち、「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」の三つが貫かれています。
 国民が主権を持つことを、国民主権といいます。天皇は「象徴」になりました。国民から選ばれた議員が集まる国会が「国権の最高機関」と位置づけられました。ちなみに国会は法律を作る「立法」の役割を果たしていて、法律に基づいて国の仕事を行う内閣の「行政」、法律に基づいて裁く裁判所の「司法」とともに、国の権力を分け合い、たがいに監視する仕組みになっています。これを「三権分立」といいます。
 「平和主義」は第二次世界大戦の反省から生まれました。9条で戦争放棄(戦争をしない)、戦力の不保持(戦力を持たない)と交戦権の否認(国が戦う権利や戦時に持つ権利を認めない)を定めています。
 人間が生まれながらに持っている、人間らしく生きる権利を「基本的人権」といいます。11条では、基本的人権を誰も踏みにじれない「永久の権利」とし、国民に与えられると定めています。基本的人権には、自由に生きる「自由権」、差別的な扱いを受けない「平等権」、人間らしい生活ができる「社会権」、政治に参加する「参政権」などがあります。
 また憲法では、子どもに普通教育を受けさせること、勤労(働くこと)、納税(税金を納めること)の三つを国民の義務としています。教育を受けさせる義務は、子どもの教育を受ける権利を保障するものでもあります。勤労は義務であると同時に権利でもあります。納税は国を動かすために必要なお金を集めるものです。


 ◇自衛隊は「戦力」じゃないの?


 自衛隊は独立国として国を守る「自衛権」に基づくもので、憲法が禁じている「戦力」ではないというのが国の考えです。従って、自衛隊の力は国を守るための、必要最小限のものとなります。しかし何が必要最小限なのか決まりはありません。
 また自衛権を使える(自衛隊が戦うことができる)条件として、国は長く、日本が明らかに攻撃され、対抗する他の手段がない場合だけ必要最小限の力でなら可能としていました。しかし2016年に自衛隊法などいくつかの法律が変わり(安全保障関連法)、日本と密接な関係にある外国が攻撃されたとき、日本が攻撃されていなくてもそれを力で止めることができる「集団的自衛権」も認められるという新しい考えが取り入れられました。
 その存在を含め、自衛隊は長く憲法との兼ね合いが議論になってきました。特に安全保障関連法で「集団的自衛権」を認めたことは、強引な考えに基づくのではないかと強い反発も招きました。


 ◇憲法ができたときになかった権利は?

 権利は社会の成熟とともに生まれています。国民が国などに情報の公開を求める「知る権利」や、水や空気のきれいな静かな環境で生活できる「環境権」、インターネットなど情報技術が発展する中、自分の情報をみだりに公開されず自分で管理できる「プライバシーの権利」などは「新しい人権」といわれます。
 いずれも憲法が作られた時には考えられておらず、憲法に具体的には書かれていません。しかし現代では欠かせない権利のため、21条の「表現の自由」や25条の「生存権」、13条の「幸福追求権」などをもとに、きちんと保障すべきだと主張されています。
 憲法を改正してちゃんと記すべきだという意見と、憲法は変えなくても法律で対応できるという意見があります。


 ◇憲法は変えられるの?


 憲法の改正は96条で、国会で衆議院、参議院それぞれの総議員の3分の2以上の賛成を得た後、国民投票で過半数の賛成があれば変えられると定められています。しかし、これまで一度も変わっていません。
 ただ国民投票をどのように行うかを定めた国民投票法が21年に改正されるなど、近年、憲法改正をめぐる動きが活発になっています。
 現在の岸田文雄内閣総理大臣がトップを務める与党(政権を担当する党)の自民党は、変えたいという立場です。
 変えたいと挙げられているもののうち、特に注目を集めるのが、自衛隊と緊急事態への対応です。自衛隊については、自衛権とともに、きちんと憲法に記したいとしています。しかし記すことで、必要最小限とされてきた範囲が拡大されるのではないかといった批判があります。また緊急事態への対応は、大災害などが起こった際、内閣の力を一時的に強化して国会の許しがなくても緊急の内閣の命令(政令)を出したり、予算を使えるようにしたりすることを認める内容です。今までは法律で、そのつど対応してきました。これには緊急事態の名の下で、法律によらず国民の権利が侵されるのではないかという批判があります。
 一方で憲法を変えたい人たちの中には、まずは96条の「総議員の3分の2以上」を「過半数」にして、憲法改正をしやすくしたいという意見もあります。(2022年04月27日掲載毎日小学生新聞より)