【ニュースがわかる2024年6月号】巻頭特集は地震大国ニッポン 被害を減らすために

気宇壮大な土木技術者の顔を持っていた豊臣秀吉①

水を治める先人たちの決意と熱意、技術に学ぶ 【豊臣秀吉編①】

文・緒方英樹(理工図書株式会社顧問、土木学会土木広報センター土木リテラシー促進グループ)

土木偉人かるた」は、学校での土木史教育の副読書として、また土木系サークルやご家庭の教育ツールとして、土木系学科を専攻する学生、先生、土木偉人に関心がある方なら、誰でも楽しく学ぶことができます。

 空海や徳川家康、伊能忠敬など古代から近代まで、社会革新の原動力となった土木偉人たちをテーマに,土木が人と自然に関わってきた歴史的役割や価値を知る・学ぶ・楽しむツールとして土木学会が制作しました。その目的は、楽しく遊びながら,土木偉人たちを入り口にして、土木が人と自然に関わってきた歴史的役割や価値を学びながら楽しむきっかけにしたいと願ったからです。例えば、豊臣秀吉の絵札につけた読み札は、こうです。

戦わずに 勝つ武将 段取り上手な 豊臣秀吉

 秀吉は、戦わずして勝つ武将としての才覚にすぐれ、そこを織田信長は高く買っていたようです。でも、どうやったら戦わずに勝てるのでしょうか。調略(ちょうりゃく)すなわち策略をめぐらすという意味では、敵の武将をひそかに説得して寝返らせるという姑息(こそく)な戦法こそ、戦わずに勝つ秘策でした。

 一方、戦わずに勝つもう一つの秘策は、土木力です。

 1543(天文12)年、種子島に伝来した鉄砲は、戦国時代の戦法を一変させました。それまでは刀や槍を振り回す白兵戦でしたが、たくさんの鉄砲をそろえて、交替で次々と一斉射撃する戦い方に変わっていきました。鉄砲を意識して、城の塀や土塁などの構えや守り方も変わります。同時に、大人数の軍団では、武器、弾薬、食料の調達運搬が必要です。

 天候、地形など条件を考え、人員、資金や資材を調達、それらを必要な場所、必要な時刻までに順序よく運搬準備する作業計画のことを、土木では段取りと言います。段取りの良し悪しで、工事でも戦でもはじまる前に成功や勝負の大方が決まります。秀吉は、この段取りの名人だったのです。

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