サブオと旅する「昭和100年」【月刊ニュースがわかる3月号】

地球は丸いのに、なぜ人は下に落ちないの?【疑問氷解】

Q 地球は丸いのに、下にいる人はなぜ、落ちないのですか。(東京・小3)

地球の中心が「下」

 A 質問を寄せてくれた読者がハガキに描いてくれた絵を見ると、確かに、地球の下側にいる人は、宇宙空間に落ちてしまいそうですね。でも、実際に落ちた人はいません。なぜでしょう。国立天文台・天文情報センター専門研究職員の臼田―佐藤功美子さんに聞いてみました。

 「ポイントは、地球のどこが下か、ということです」と臼田―佐藤さん。私たちは宇宙空間にある地球の姿を見た時、画像の上辺が上、下辺が下と無意識に決めています。

 「しかし、宇宙は無限の空間の広がりで、そこには上も下もありません」と臼田―佐藤さんは話します。

 まず、「下に落ちる」という現象から考えてみます。「下」とはどの方向でしょう。私たちはふだん、物が落ちていく方向を「下」と言っています。その「下」の方向とは、実は地球の中心です。下の図のように、物だけでなく、私たちも、地球の中心に向かって落ちているのです。

 この宇宙では、重さのある物体すべてに、お互いを引っ張る力が働いています。これを「万有引力」といい、1665年にイギリスの物理学者・ニュートンが法則を確立しました。二つの物体の間に働く万有引力は、物体が重いほど強くなり、距離が遠いほど弱くなります。

 例えば、読者とお友だちの間にも、互いを引っ張る力が働いていますが、宇宙のなかでは2人はとても軽いため、強い力ではありません。でも、地球との関係を考えると、地球はとても重いため、強い引力が働き、読者もお友だちも地球の中心に引っ張られることになります(これを重力といいます)。もし、宇宙に行くと、地球との距離が遠くなるため引力が弱くなり、宙に浮かぶことになるのです。  【毎日小学生新聞編集部】

              (「疑問氷解 Vol.7(毎日小学生新聞)」より)