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【ニュースがわかる2024年6月号】巻頭特集は地震大国ニッポン 被害を減らすために

世界を席巻! ハローキティ誕生50周年【ニュース知りたいんジャー】

サンリオのキャラクター「ハローキティ」が誕生して今年で50周年を迎えました。国内では国民的キャラクターとなり、海外でも人気が高く、子どもから大人まで、世代を超えて愛されてきました。ファンの声や、その時代に合うスタイル、ファッションを取り入れながら変化してきた50年の歩みを振り返ります。【木谷朋子】


 ◇生まれ育った場所、家族は?


 発売後に大人気となったことで、名前や身長、体重、家族構成や性格、趣味や好きなものまで、さまざまなプロフィルが後から決まっていきました。
 名前はキティ・ホワイト、愛称はキティちゃんです。パパはジョージ、ママはメアリー、双子の妹ミミィの4人家族で、おじいちゃんのアンソニーとおばあちゃんのマーガレットが近所に住んでいます。双子のミミィはキティと見分けがつくように、右の耳にリボンが付いています。
 このほかにも、ボーイフレンドのディアダニエルやペットの猫チャーミーキティなど、周りにはたくさんのキャラクターがいます。
 意外と知られていないのが、ハローキティが「イギリスのロンドン郊外生まれ」とされていることです。イギリスにした理由を、当時の担当デザイナーは「イギリスが当時の日本の女の子が憧れる国の上位にランクインしていたため」と話していたそうです。


 ◇誕生のきっかけは?


 ハローキティは、1960年創業のサンリオ(創業当時の社名は山梨シルクセンター)が開発したキャラクターです。独自のキャラクター商品の開発をめざしていたサンリオが74年、ビニール製の小銭入れ「プチパース」に付けるデザインの一つとして作りました。
 最初の商品は翌75年に発売されましたが、まだ「ハローキティ」の名前はついていませんでした。他のキャラクターでも何種類か商品が作られたものの、飛び抜けて売れ行きがよかったことで、開発時にはなかった名前が付けられることになりました。
 名前の由来は、イギリスの作家ルイス・キャロルの小説「不思議の国のアリス」の続編「鏡の国のアリス」に登場する子猫「キティ」です。これに、英語のあいさつ「ハロー」をつけて、「ハローキティ」になりました。

 ◇どんなブームがあった?


 発売された初期には文房具などが中心だったこともあり、小中学生のファンが大多数でした。担当デザイナーが、サイン会などでお客さんにハローキティの印象を聞くと、「黒い線の輪郭が冷たく感じる」などの声がありました。そこで、1981年に輪郭をなくし、顔を斜めに向けたデザインに変えました。85年にはサンリオで最も売れたキャラクターとなりました。
 80年代後半には、「大人が持てるものを作って」という声がファンから届きました。それに応えて大人向けの生活雑貨などが作られると、女子高校生や大学生から人気に火がつきました。当時流行していた黒白のモノトーンを取り入れたり、タータンチェックの服を着たデザインで、人気はさらに大人へと広がりました。
 95年には「プリクラ」と呼ばれるプリントシール機のサンリオキャラクター版が登場。高校生たちを中心に話題になりました。ピンクのキルト柄携帯電話ケースなど、大人向け商品が次々と大ヒットし、グッズを持つ若者は「キティラー」と呼ばれるようになりました。

ハローキティ新幹線展 ハローキティのラッピングを施された常設展示の500系 /京都


 ◇海外での人気は?


 現在、ハローキティは130の国と地域で、年間5万種類のキャラクター商品が販売されています。海外でも人気が高く、「カワイイ」のシンボルとしても有名です。
 そのきっかけは世界での「カワイイブーム」に加え、アメリカの人気歌手マライア・キャリーさんやレディー・ガガさん、モデルのヒルトン姉妹など、2000年ごろから有名人がこぞってキティファンだと言っていたことも影響しているとされます。また、社会的な活動にも登場しました。ガガさんは13年、東日本大震災のチャリティーオークションに、世界に2体しかないハローキティの特注ぬいぐるみを出品しています。
 ユニセフのジュニアアンバサダーや親善大使、香港(ホンコン)観光親善大使などに任命されたこともあります。国内でも、さまざまな地域や企業とコラボし、ご当地グッズなども人気です。

イベントをPRするハローキティ=大分市大手町の県庁で


 ◇変わらない人気の秘密は?


 ハローキティは、元気いっぱいの明るさや、小さくてかわいいこと、キラキラした雰囲気など、全世界の女の子の憧れの存在です。
 サンリオ広報の担当者は「キティちゃんが発信するメッセージは、サンリオの企業理念でもある『みんな仲良く』というメッセージにぴったり。キティちゃんは友情(ゆうじょう)のシンボルです。キティちゃんのリボンが、『人と人を結ぶ』という初期の頃から変わらぬメッセージとして、多くの人に受け入れられているのでは」と話します。
 また、顔やデザインの変化について、デザイン部門代表の山田周平さんは「ファンの声を大切にしながら、変化することを恐れずチャレンジしてきたことで、より多くの人に愛されるキャラクターに成長していったのだと思います」と強調します。
 ハローキティを支えるデザイナーは現在約100人。デザインに関わっている人は世界に5000人以上いるそうです。今後は、ゲームや映画の世界にも進出する予定があります。(2024年04月10日毎日小学生新聞より)