高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしれません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育（商船学科は5年6カ月）。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう！」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は茨城高専を紹介！
茨城高専は、キャリア教育専任教員を配置した本科５年間の積み上げ型キャリア教育、地域企業が抱える課題を取材して動画制作に取り組むiR-MIPPE（地域相互誘起型課題解決実践教育）、国際交流やグローバル化対応教育等、特徴的な教育プログラムを実践しています。
学生や教職員が積極的に地域へ出向き、地域と関わりを持つ様々な取り組みが始まっていますが、これら成果を地域に広く周知して本校のプレゼンスを向上させるため、様々なメディアを通して広報活動に取り組むことも本校の特長の一つです。
これら取り組みの１つとなる小中学生向けのサイエンスイベント「アソビサイエンス」について紹介します。
アソビサイエンスに参加した学生たち（茨城高専提供）
本イベントは、高専スタートアップ教育環境整備事業の成果発表の場として、令和５年度から茨城県内の主要商業施設で開催しています。学生が授業や実習・実験、課外活動等を通して得た専門的な知見と技術を生かし、地域課題の解決に取り組んだ成果の体験を通して、参加者に理科や科学の楽しさを体験してもらうことを目的としています。また、本校学生がイベント運営を主体的に行うことで、社会性やコミュニケーションスキルを学ぶとともに、地域の人々から激励や賞賛を直接受け取ることで、高専で学ぶ意義を再確認する重要な場となっています。
2月中旬に水戸市の大型商業施設で開催したアソビサイエンスは、2日間で延べ2,500名以上の参加者が集まり、茨城高専史上最大規模のサイエンスイベントとなりました。
■イベントの様子
１．デジタルコンテンツの展示
CG・アニメーションライブや、VR・デジタル・音楽体験と称し、茨城高専生が制作したバーチャルキャラクターによるライブ演出や、来場者が触って遊んで学べるデジタルコンテンツを多数出展しました。
２．ドローン操縦体験
茨城高専生が3Dグラフィックス技術を使って制作したバーチャル空間で、ドローン操縦のシミュレーション体験ができるVRゲームや、ドローンの実機を操縦して高得点を競うゲームを出展しました。
３．茨城高専ロボット部によるデモンストレーション＆ロボット操縦体験
茨城高専ロボット部が製作したキリン型ロボット「いばらきりん」と、学生が制作したCG・映像コンテンツによる展示演出を掛け合わせた、モノ作り×デジタルの複合的なデモンストレーションを披露しました。
４．ワークショップ
本イベントでは、サイエンス・プログラミング・工作の3つのテーマに合わせたワークショップを出展しました。
（１） SDGｓアクセサリー製作
アップサイクル（創造的再利用）した海洋プラスチックを使って、世界に1つだけのオリジナルアクセサリーを製作するワークショップ。色とりどりのプラスチックパーツをレジンで固めて、透明感のある綺麗なアクセサリーを製作できます。
（２） カードでプログラミング
経験がなくてもプログラミングを楽しめるコンテンツを本校学生が開発しました。移動のカード、くり返しのカードを使って迷路を解くことで、楽しみながらプログラミングを体験できるワークショップです。
（３）紙コップ相撲ロボット製作
紙コップとモーターを使ってオリジナル相撲ロボットを製作するワークショップ。モーターの力がどのように作用して紙コップが動き、制御できるのか、工作を通して学ぶことができます。
ロボット操縦体験の様子（茨城高専提供）
その他、茨城高専では、行政と連携して行うSTEAM教育の教材開発や、福祉施設におけるハビリテーションを目的とした体験型デジタルコンテンツの開発、車椅子利用者から課題を抽出して解決案を検討・実装する取組み等も行っています。
茨城高専では、今後も地域や行政の課題を専門的な知見と技術で解決案を提案する取組みを続けていきます。
【茨城高専へのアクセス】
■バス
茨城交通「海浜公園南口行」 茨城高専前バス停で下車。
■車
東水戸道路
「ひたちなかIC」から国道245号を東海村方面に進み、昭和通りを左折して直進。「茨城高専入口」の交差点を右折。
常磐自動車道
「那珂IC」から県道169号をひたちなか市街方面に進み、産業道路から東中根高場線を直進。「中根上野」交差点を右折し、「茨城高専入口」の交差点を右折。