高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は広島商船高専を紹介!
広島商船高専は大崎上島という瀬戸内海のほぼ中央にある島にあります。広島商船なのに広島市内にないの?と思う人も数多くいると思いますが広島市内ではなく、広島県豊田郡大崎上島町という人口が6,000人ほどの島にあります。
島といっても、本土とは30分ほどのフェリーで渡って来れ、学校のそばにはスーパーマーケットもありますし、少し離れていますがドラッグストアやホームセンターだってあります。コンビニはありませんが。。。
その代わりといっては何ですが、都会に比べて少しだけゆっくり進む時間の中、在学中の思い出にはどれも、高すぎる空ときらめく海、そしてこの上もなくきれいな夕日に彩られています。
本校は寮生が多く、在校生(約600人)の約7割が寮生で、北は北海道から南は熊本や宮崎からも学生が集まっています。寮生が多いからか学生の仲間意識は強く、学生に本校の一番いいところは?と聞くと、多くの学生が「学生と教員の距離が近い」ことと答えます。
学生はこうした環境の中、授業では「知識」や「知恵」を、高専教育の特徴である実験・演習・実習では「技(わざ)」を、学生会やクラブ活動、寮生活などの課外活動では「人」を育み、日々社会で活躍することを夢見て過ごしています。
商船高専と言えば「商船学科」、すなわち船員を養成するんでしょ、という声が聞こえてきそうですが、本校は長きにわたり世界中の海で活躍する船員を育て日本の経済発展に貢献してきています。船員を養成するので本校には「広島丸」という練習船もあります。
商船科の授業の様子(広島商船高専提供)
こうした「商船学科」とは別に、他の工業高専と同様に、日本の“ものづくり”を支える技術者を養成する「電子制御工学科」もありますし、全国の高専でたった一つしかない「流通情報工学科」もあります。この「流通情報工学科」では発展著しい情報技術を応用することで新たな社会の仕組み・新たなビジネスを考える従来とは全く異なったタイプの技術者を養成しています。
このように広島商船高専では、船員から“ものづくり”そして、情報化社会のビジネスシーンまで幅広い分野で活躍する人材を養成しています。
電子制御工学科の授業の様子(広島商船高専提供)
近年のAIやIoTといった情報技術が社会に浸透するスピードは著しく、情報技術を応用した新しい製品の開発、生産工程の自動化や高度化、情報ネットワークを駆使したネット通販やカード決済、いわゆるスマホ決済、店舗の無人化など新しい手法を取り入れたビジネスなどが既に実用化されており、“ものづくり”や企業経営にも従来とは全く異なった「情報化の波」が押し寄せています。こうしたことに対応するため、広島商船高専ではより進展する情報技術をベースに、従来の理系、文系といった枠組みにとらわれることなく新しい発想で社会に貢献できる技術者の養成に向け、新たなステージに踏み出そうとしています。
【広島商船高専へのアクセス】
1.本島への交通(フェリー)
竹原港→白水港又は垂水港(フェリー30分又は25分)
安芸津港(JR呉線安芸津駅隣接)→大西港(フェリー30分)
*白水港、垂水港または大西港から本校へ:徒歩(30分、50分または60分)、タクシー(5分、10分または20分)
2.竹原港(フェリー)への交通
三原方面から:三原駅→*竹原駅(JR呉線40分)
広島方面から:広島駅→*竹原駅(JR呉線90分)
*竹原駅→竹原港(フェリー)(芸陽バス10分又はタクシー5分)
広島方面から:広島駅前(12番バス乗場)→竹原港(高速バス「かぐや姫」号70分)東京方面から:広島空港→竹原港(乗合タクシー25分)
山陽自動車道から:河内I.C→竹原港(20分)