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子どもの英語教育、いつから始めるべき?教育学の専門家が徹底解説

「子どもの英語教育、いつから始めるべき?」

「早いほうが効果的?」

「まだうちの子には早すぎると思うけど……」

子どもに英語教育を受けさせたいと思っている方の中には、こんな疑問をお持ちの方も少なくないと思います。実は、英語教育に「早すぎる」ということはありません。早く始めればそれだけ、将来的に大きな効果が見込めます。

このコラムでは、英語教育の専門家で神田外語大学の教授を務める田中真紀子先生のお話をもとに、

・英語教育を早く始めるべき理由

・効果的な英語教育の方法 などを解説していきます。

早期英語教育に関する疑問・不安解消の一助になれば幸いです。

1.子どもの英語教育は早く始めるのがよい

まず確実に言えるのは、英語教育は早く始めるのがよいということです。

英語圏生まれの子どもは当然、生まれたときから英語に触れるので、成長とともに英語を話すようになります。日本で生まれた子どももそれと同じように、0歳のときからずっと母語と同じように英語に触れていれば英語を話せるようになるというのはイメージが湧くかと思います。

すぐに英語教育の環境を整えるのは難しいかもしれませんが、英語に触れさせる時間が長ければ長いほど効果が見込めるのは間違いありません。なるべく早く英語に触れさせてあげることを意識してください。

2.英語教育を早期に始めるとよい理由は?

英語に触れ始める時期が早ければ早いほど、また、触れる時間が長ければ長いほど、習得には効果的と説明しました。その大きな理由は「幼少期は脳が非常に柔軟で言語に敏感だから」です。

乳幼児期は音声に関する感覚が優れていて、日本語に存在しない英語特有の音や、音の違いを聞き分けることができます。乳幼児は何度となく英語を耳にすることで英語のリズムやストレスを感じ取り、語や表現を繰り返し聞くと、それを一つの塊と捉えて、その意味を獲得していく能力を備えています。

幼少期の脳は非常に柔軟で、言語の習得に大きな影響を及ぼします。2歳から11歳くらいまでは特に重要な時期で臨界期と呼ばれており、この時期に子どもは非常に多くの言葉を吸収し、習得します。臨界期を超えてしまうと、母語習得は困難と言われています。

第2言語習得においても、この時期は重要な言語習得の期間で、母語話者レベルの英語習得を目指しているのであれば、豊富な言語環境の中で、英語でやり取りする機会がたくさんあることが非常に重要です。

3.家庭でできる効果的な早期英語教育の方法

「早く始めさせたほうがよい」とはいえ、ご家庭でどのように英語に触れさせればよいかわからないという方も多いでしょう。ここでは、ご家庭でできる英語との効果的な触れ合い方を紹介します。

子どもが興味を持ったものをテーマに語りかける

最も簡単かつ効果的なのは、子どもが興味を持っていること・ものに関して、英語で語りかけをしてあげることです。

例えば、子どもがクマのぬいぐるみを見たり、指を差したりして興味を示したら、“That’s a bear, teddy bear.” “It’s so cute.”などと文章で話しかけるのです。そうすることで、英語の「音」だけではなく「語彙」や「文法」も感覚的に身についていきます

このように、まず子どもが興味を示したことから始め、次はそれに関連させてさらに幅を広げていき、その過程でたくさんの英語インプットとやり取りがあれば、子どもは無理なく、そして楽しく英語を学ぶことができます。

先程のぬいぐるみの例、“bear”であれば、そこから今度は図鑑や動物の絵本を見せて、“Here’s a bear. Hear’s another one.”(ここにクマがいるね。ここにも)、そして本の中の別の動物を指して、“What’s this animal? It’s not a bear. It’s a lion. Lions say roar!”(この動物はなんだろう。クマさんじゃないね。ライオンだ。ライオンはガオーって鳴くんだよ)という具合に語りかけてあげるのです。

テーマはあくまでこどもの興味を主体にすることが重要です。興味の幅を広げてあげるには、様々なものを見せてあげるのがよいでしょう。特におすすめしたいのは絵本です。絵本を読んであげることで、子どもはその中の何かに興味を示すはずです。それを一緒に触りながら、“It’s ○○, 〜〜”などと、英語で名前を教えてあげるとよいでしょう。形容詞を付けるとさらに豊かな言語インプットになり、概念の形成に役立ちます。

聞き流し学習は子どもには効果がない

英語に触れさせると言っても、YouTubeや音声教材を流しっぱなしにしておけばよいというわけではありません。子どもにとって、やりとりがなければ英語の習得はあり得ないからです。大人は「聞き取れなかったからもう一回聞こう」と繰り返し聞くことで学習できますが、子どもはそれができません。子どもの場合は聞き流し学習に効果は見込めないのです。子どもが興味を持ったものに対して語りかけ、子どもの理解を確認しながらまた語りかけるというプロセスを経ることが大切です。

4.まとめ

今回紹介した早期英語教育に関するポイントをおさらいします。

英語教育は早く始めたほうがよい
・幼少期は脳が非常に柔軟で、特に2歳〜11歳が言語習得に大切な時期と言われています。

家庭でできる効果的な英語教育:子どもが興味を持ったものをテーマに語りかける
・子どもが興味を持ったものをテーマに、英語の文章で語りかけることで、音や語彙、文法が自然に身についていきます。

家庭で環境を整えるのが難しい場合は英語教室に通うこともおすすめです。田中先生が顧問を務める神田外語キッズクラブでは、

  • 音声指導に力を入れている
  • 発達段階に応じた細かなクラス分け
  • 児童英語指導に関する講座・研修を修了した講師がレッスンを担当

など、楽しみながら簡単な英語を読み書きできるように、独自に開発した教材を使って指導しています。

話を聞いたひと

田中真紀子(たなか・まきこ)

神田外語大学外国語学部英米語学科教授。神田外語大学児童英語教育研究センター(CTEC)センター長。神田外語キッズクラブ顧問。上智大学卒業後、上智大学大学院よりMA(修士号)、カリフォルニア大学サンタバーバラ校よりMA(修士号)、同大学よりPh.D.(博士号)取得。教育学博士。主な著書に『教師と学生が知っておくべき教育動向』(共著・北樹出版)、『小学生に英語の読み書きをどう教えたらよいか』、『絵本で教える英語の読み書きー小学校で実践したい英語絵本の指導法』(研究社)などがある。