注目キーワード
  1. 中学受験
  2. 社会
  3. イベント
  4. SDGs
【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

グローバルの窓“Family day at the foot of the Alps” 〜アルプスの麓で家族の日~

神田外語キャリアカレッジは、神田外語大学や神田外語学院を母体とする神田外語グループの一事業体として、語学を起点にグローバル社会における課題の解決やプロジェクトを推進できる人材の育成に取り組んでいます。
今回はそんな当校の代表、仲栄司のグローバルビジネスでの体験談をお送りいたします。グローバル環境の中で仕事を進める上でのヒントや異文化についての気づきなど体験談を交えながら繰り広げられる世界には、失敗談あり、ハラハラ感あり、納得感あり。ぜひお気軽にお読みください。

 NECドイツでは、毎年、社員の家族のための「Family day」が開催されました。夏、国境近くのオーストリアアルプスの麓(エルマウ村)の小屋に集まり、ゲームをしたり、運動したりして一日を過ごしました。独身の人は恋人と、既婚の人は奥様と、あるいは家族ぐるみで参加しました。日本から出張者がいるときは、出張者の方にも参加いただきました。アルプスから吹き下ろす風はさわやかで、社員の親睦をあと押ししてくれました。

 日頃はビジネスディスカッションで厳しいことを言ってくるドイツ人もこの日ばかりは笑い顔ばかり。飲み物はもちろんビールが主役です。ピルツビア(琥珀色)とヴァイスビア(白ビール)、それからドゥンケルビア(黒ビール)の3種類が用意され、意外と甘めの白ビールが人気でした。フルーティーな味わいが受けるのでしょうか。ある商社の方は、白ビールに感動して、「これは日本でも絶対受ける。輸入して日本で販売したい」と興奮されていましたがどうなったでしょうか。この前、スーパーで缶入りの白ビールを見つけましたが、スーパーで売られるようになったのは最近のことではないかと思います。

Christof STACHE / AFP 

南ドイツでは、炭酸入りのミネラルウォーター(“Wasser mit Gas(ヴァサ―ミットガス)”)を好む人が多かったのですが、私は、最初は飲めませんでした。味がなくて全然おいしくないのです。それからジュースでは、Spetzi(シュペッツィ)“というコーラに炭酸オレンジを混ぜたソフトドリンクが人気ありました。シュペッツィは他の欧州の国ではほとんどお目にかからなかったので、ドイツが主流の飲み物かもしれません。

 食事はソーセージ、じゃがいも、酢キャベツがメイン。これらがあればドイツ人はだいたい満足のようです。他には、南ドイツ料理のレバーケーゼ(ひき肉、香味野菜、スパイスを蒸し焼きにしたもの)もありました。ただ、ドイツ料理はたまに食べるくらいがちょうどよく、すぐに飽きてしまいます。日本から初めてドイツに出張に来た人は、ほぼ全員がドイツ料理を食べたいと言うので、仕方なくドイツ料理店へ連れて行きましたが、何度も出張に来る人には、「今日は中華、イタリア、日本料理のどれにしますか」と最初からドイツ料理を省いて訊ねます。出張者もそこは暗黙の了解、「中華かな」と答えてくれます。

 さて、“Family day”の場所は、毎年、国境を越えたところに位置するエルマウ村でした。ミュンヘンからオーストリアの国境まで車でだいたい1時間ほどの距離です。ザルツブルグに向かうアオトバーン(高速道路)に乗り、途中、分岐点を南に下るとエルマウ村に着きます。当時はまだ西ドイツの時代でEU誕生前でしたので、パスポートは必携でした。

 エルマウ村にはスキーでもよく行きました。残業続きの毎日で、土曜日はだいたい12時まで寝ていましたが、ダッシュで支度して、13時に家を出発。スキー場には14時に到着。そのあと、リフトが終わる16時まで2時間しかありません。しかし、日本とちがってリフト待ちがほとんどないので、目一杯滑ることができました。

 このように、夏は“Family day”、冬はスキーということでエルマウ村には何度か行きました。ミュンヘンはアルプスが近く、イベントやプロモーションを企画するのにありがたい土地柄です。今振り返れば、当時は残業続きで、週末も仕事中心の生活でしたが、プライベートでもドイツ人ともっと関わっていたら豊かな生活が送れたかなと思います。その反面、会社のイベント等で多くの貴重な経験が積めたことはありがたかったとも思います。

メイン画像はミュンヘン中心部にあるマリエン広場=ドイツ南部バイエルン州で2018年8月

著者情報:仲 栄司
大学でドイツ語を学び、1982年、NECに入社。退職まで一貫して海外事業に携わり、ドイツ、イタリア、フィリピン、シンガポールに駐在。訪問国数は約50カ国にのぼる。NEC退職後、 国立研究開発法人NEDOを経て、2021年4月より神田キャリアカレッジに。「共にいる時間を大切に、お互いを尊重し、みんなで新たな価値を創造していく」、神田外語キャリアカレッジをそんなチームにしたいと思っています。俳句と歴史が好きで、句集、俳句評論の著書あり。