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【ニュースがわかる2024年6月号】巻頭特集は地震大国ニッポン 被害を減らすために

深海魚 なぜ水圧でつぶれない?【疑問氷解】

Q なぜ深海魚は水圧でつぶれないのですか? (大阪府豊中市、小4)

浮袋なし 硬い甲羅 体を守る進化を遂げ

 A 日本一深い湾「駿河湾」に面する静岡県沼津市にある「沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム」の塩崎洋隆・飼育展示マネジャーに教えてもらいました。

 水圧とは、水の重さによる圧力のことです。地上の圧力は「1気圧」ですが、水中の場合は、上からだけでなく、周囲の水の圧力がかかるので、10メートル深くなるごとに1気圧ずつ増えます。つまり、ふつう深海とされる水深200メートルの地点では、20気圧になり、1平方センチメートルあたり約20キログラムの圧力がかかることになります。

 そのような水圧のかかる環境の中で、深海魚が生きていけるのは、海水と体内の圧力が同じになっているからです。

 気体(空気)は圧力に大きく影響を受けます。例えば、空気をたくさん含んでいる発泡スチロールの容器(カップラーメンの器など)を水深1000メートルの海に沈めた場合、約4分の1の大きさに縮みます。

 メダカや金魚などは、浮袋の中の気体の調節をすることで、泳ぐことができます。一方、深海魚の中には、アンコウなどそもそも浮袋を持たない種類の魚が存在します。海底でエサが近づいてくるまでじっとしているので、長い年月をかけて環境に適応し、浮袋の必要のない特殊な体に進化したそうです。また、気圧による膨らみの変化が小さい油で浮袋を満たすシーラカンスなどもいます。水圧から体を守るため、硬い甲羅で覆われているダイオウグソクムシなどの深海生物もいます。

 浮袋がある深海魚を捕獲する際、急に船から水揚げすると、浮袋のガスが膨らんで、魚の目玉や内臓が飛び出ることもあります。沼津港深海水族館の場合は、時間をかけて網を揚げることで、深海魚を低い水圧に慣れさせているそうです。また、浮袋から注射器でガスを抜くことで、水族館で飼育できるように処置することもあります。【毎日小学生新聞編集部・長尾真希子】

 

  (「疑問氷解 Vol.6(毎日小学生新聞)」より)