Q スイカに塩をかけると、甘みが増すのはなぜ?
甘みが後から伝わる
A 塩についての調査や研究をしている塩事業センター(東京都品川区)の大庭剛司さんに教えてもらいました。
甘い味と塩味のように二つの味があったとき、片方の味がもう一方の味を強めることがあります。これを味の対比効果といいます。
なぜ対比効果が起こるのか、実はくわしいメカニズムはよくわかっていませんが、甘い味と塩味を一緒に食べると、塩味の方が先に脳に伝わり、その後に甘い味が伝わるので、もとの甘さよりもより甘く感じると言われています。ですから、スイカ自体の甘さが増したのではなく、甘いと感じているだけなのです。甘みの感覚は人それぞれなので、スイカに塩をかけて甘くなったと感じる人もいれば、そうでもないと思う人もいます。
でも、昔から生活の知恵として、甘い物などに少量の塩を加えて味を引き立たせていました。別の味を引き立たせるために使われる塩を、「隠し味」と言います。
お汁粉やあんこ、甘酒にも、塩が少し入っています。ちょっと意外ですね。また、コブやカツオ節、鶏ガラなどで作っただし汁に塩を入れると、とてもおいしいスープになります。これは、うまみが増すからです。
このほかに、塩にはもう一方の味を弱める抑制効果もあります。みなさんの大好きなスシは、ごはんに酢をまぜています。でも、強い酸味を感じないのは、少しの塩と砂糖を入れることで酸味が抑えられているからです。
味にさまざまな効果を発揮する塩ですが、暑い夏には熱中症対策で注目されます。
私たちの体の中では、塩分が大切な働きをしています。体の細胞や水分を一定に保ったり、刺激を脳に伝えたり、栄養の吸収や消化を助けたりしているのです。
たくさんの汗をかくと、塩分は汗と一緒に体の外に出てしまいます。すると、頭痛や吐き気、脱水症状が起きます。水分だけでなく、適度な塩分も取るようにしましょう。【毎日小学生新聞編集部】

(「疑問氷解Vol.8」より)