秋が深まっていくにつれ、木々の葉がいっせいに色づきますよね。カエデ、ナナカマド、ハゼなどはその葉を紅色にし、イチョウ、クヌギ、ポプラなど黄色に変化します。秋になると、なぜ色づくのか?くわしくみてみましょう。
紅葉前線は北海道で10月に始まり、11月になると本州から四国、九州へと南下する。明け方の最低気温が7~8℃より低くなる日があってしばらくすると、紅葉が始まります。
葉が紅色や黄色に色づくことを「もみじ」という。漢字では「紅葉」あるいは「黄葉」と書くが、『万葉集』ではそのほとんどが「黄葉」と書かれています。どうも万葉の人々は紅色の葉より黄色の葉のほうを好んだようです。それが平安時代になると「紅葉」と書かれるようになり。好みが変化したことがうかがわれます。
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木の葉が緑色をしているのは、クロロフィル(葉緑素)という緑の色素を含んでいるからです。植物はクロロフィルによって、栄養素となるデンプンを光合成しています。冬が近づくと、木は葉を落とす準備に入ります。葉のつけ根に離層という薄い膜ができ、葉と幹を結ぶ通路が通りにくくなる。離層ができると、葉で作られたデンプンが幹へ送られなくなり、分解されて糖になって溜まります。また葉の老化によってクロロフィルは不安定な状態になり、ついに壊れてしまうのです。
葉にはカロテノイドという黄色の色素も含まれている。クロロフィルが壊れてその色(緑色)を失うと、黄色の色素(カロテノイド)が表面に出てきます。イチョウやポプラなどが黄色くなるのはそのためです。
一方、カエデやハゼなどが赤くなるのは、葉の中に溜まった糖から紅色の色素が合成されるためです。この紅色の色素は植物によって、よくできるものと、そうでないものがある。カエデやハゼなどは、よくできる部類です。