参議院選挙の注目点や位置づけは?【ニュース知りたいんジャー】

参議院議員選挙(参議院選挙は22日に公示(発表)され、7月10日に投開票されます。昨年は衆議院選挙がありました。衆議院選挙と参議院選挙は何が違うのでしょう。今回の選挙の注目点を含め、知りたいんジャーが調べました。【小山由宇】


 ◇なぜ衆議院と参議院があるの?


 国会には、法律や予算などを議論したうえで決める役割があります。このとき、一つの議院しかなければ、極端な結論に走ってしまう恐れがあります。それを防ぎ、幅広い意見を反映させるため、日本は衆議院と参議院の「2院制」という仕組みをとっています。両方の議院の審議を経なければ、法律や予算は成立しません。
 世界でも同じ考えの国が多く、192か国のうち、アメリカやイギリス、ドイツなど81か国(2020年12月時点)が2院制です。
 第二次世界大戦前は、衆議院と貴族院の2院でした。貴族院の議員は、皇族や華族(貴族階級の人)、お金持ちなどでした。貴族院は選挙がありませんでした。
 選挙に立候補できる年齢(被選挙権)は、衆議院は25歳以上、参議院は30歳以上と定められています。任期は衆議院議員が4年で、参議院議員はそれよりも長い6年となっています。
 違いを設けた理由について、総務省は「参議院は、思慮分別(物事)をじっくり考え、判断すること)を衆議院よりも求められているから」と説明します。このため、参議院は「良識の府」とか「熟慮の府」と呼ばれることがあります。
 

◇衆議院選挙との違いは?


 衆議院選挙は、どの政党に行政を任せるかという「政権選択の選挙」です。参議院選挙は、そうした位置づけはされていません。なぜなら総理大臣を決める際、衆議院は参議院よりも強い権限を持っているためです。衆議院と参議院は、国会議員の中から総理大臣を多数決で選びます。異なる人を選んだ場合は、衆議院の決定が優先されます。つまり衆議院選挙は、政権を選ぶことに直結するのです。
 予算や条約を決めるときも、衆議院の決定が優先されます。「衆議院の優越」といいます。衆議院には、任期途中で内閣が選挙をさせる「解散」があり、より国民の意思が反映されやすいため、こうした強い権限を持っています。
 でも、参議院選挙を軽んじていいわけではありません。
 野党が参議院で多数派になると、政府は思うように法律を通せなくなります。衆議院で可決され、参議院で否決された法律(予算や条約以外)は、衆議院の出席議員の3分の2以上で再び可決すれば、成立します。普段の議決に必要な「過半数」からハードルが上がります。
 すると政府や与党は、国民に一層の説明をすることを迫られます。政府や与党にとっては「手間」とも言えます。だから与党も野党も、参議院選挙を重視しています。
 

◇参議院選挙の仕組みは?


 参議院議員の任期は6年ですが、全議員が同じ選挙に臨むわけではありません。選挙は3年ごとにあり、参議院(定数248人)の半数(124人)が選び直されます。このうち74人は選挙区、50人は比例代表で選ばれます。
 選挙区は原則、都道府県単位です。例外は、人口の少ない「鳥取県・島根県」と「徳島県・高知県」で、2県で一つの選挙区となっています。このため選挙区は45区です。人口が多い東京都選挙区は6人、大阪府選挙区は4人などと、1回の選挙で複数人が当選しますが、人口の少ない選挙区の当選者は1人だけです。
 比例代表は、全国を1区として争われます。選挙区と異なり、無所属の人は立候補できません。政党(政治団体を含む)に所属した候補者のみが立候補できます。有権者は「政党名」か「(候補者の)個人名」で投票します。政党名と個人名の合計が、各政党の得票数となり、議席は得票数に応じて配分されます。一つの政党の中では、個人名の得票が多い順に当選します。「非拘束名簿式」という方式です。
 比例代表は選挙区と比べ、小さな政党でも当選者を出しやすいのが特徴です。


 ◇投票率、下がりすぎでは?


 前回(2019年)の参議院選挙の投票率(選挙区)は48%で、過去最低だった1995年参議院選挙の44%に次いで、過去2番目に低い投票率となりました。昨年の衆議院選挙の投票率(選挙区)も55%で、戦後3番目に低い数字でした。
 参議院選挙がより低いのは、政権を選ぶ衆議院選挙と比べ、どうしても盛り上がりに欠けるためとされます。この状況に危機感を持つ参議院議員は、衆議院とは異なる「独自性」を出そうと工夫をしています。
 与野党でつくる参議院改革協議会が6月にまとめた報告書によると、参議院は国の「決算」の監視などに力を入れるべきだと指摘しています。日本では、国民からの税金をこれからどう使うかの「予算」への注目度が高く、実際のお金の使い方の「決算」はあまり重視されていませんでした。そこにスポットを当て、参議院の存在感を示そうという狙いです。
 有識者は「多くの国民が、どの政党が勝っても自分の生活は大きく変わらないと考え、選挙への関心が下がっている」と分析します。でも、選挙は国民の声を政治に届ける重要な機会です。しっかりと投票しなければ、「民主主義」が機能しなくなってしまいます。


 ◇今回の争点は何だろう?


 ロシアによるウクライナ侵攻や、日本円の価値が下がる「円安」によって、パンやお菓子、洋服など、さまざまなモノの値段が上がっています。野党は、岸田文雄政権は物価高への対応が甘い、などと批判しています。
 防衛分野も注目されています。ロシアの侵攻や中国による海洋進出、北朝鮮の核・ミサイル開発などを受け、岸田総理大臣は防衛予算を増やす方針を掲げました。
 与党の自民党は、敵となった国の基地などを攻撃する「敵基地攻撃能力」(反撃能力)を保有)すべきだとも訴えています。これまで日本は「専守防衛(守りに徹する)」という考え方をとっていましたが、その政策を変える主張です。野党の立憲民主党などは慎重な検討を求めています。
 政権が代わる選挙ではありませんが、もし与党が議席を減らせば、政府・与党の物価高対策や防衛政策に国民が疑問を持っている、と考えることができます。選挙結果は、政府が今後実行する政策に影響を与えることになります。(2022年06月22日毎日小学生新聞より)