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高専に行こう!旭川高専編

高等専門学校。タイトルにある「高専」の正式名称です。ロボコンなどでその名前を聞いたことがあるかもしません。
高専は高等学校と同じく、中学校を卒業したひとが入学することができ、入学後は5年一貫教育(商船学科は5年6カ月)。一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、エンジニアに必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。近年はこの高専のカリキュラムが海を越え「KOSEN」として東南アジアを中心に注目されています。
「高専に行こう!」では、実際に全国各地の高専の魅力や特徴などをレポートします。今回は旭川高専を紹介!

 4学科(機械システム工学科、電気情報工学科、システム制御情報工学科、物質化学工学科)からなる旭川高専は、半導体に詳しい教員が多く、これまでもそれぞれの学科で半導体を扱う授業や実験・実習がありましたが、北海道内に半導体関連企業が少ないため、本校で半導体について学んだ高専生は大半が道外の一流メーカー・企業へ就職してきました。

 2023年、先端半導体の国内での量産を目指す新企業ラピダスが北海道千歳市に工場建設を開始し、ラピダスおよび半導体関連企業が理系人材を採用する動きが活発化しました。

 そこで、旭川高専では半導体分野の人材需要に対応するため、2023年10月より全4学科の4・5年生が選択受講できる新設科目「半導体概論」を道内他高専に先駆けて開講しました。

半導体概論の様子①(旭川高専提供)

 半導体概論の講師は旭川高専の4名の教員のほか、道内外の企業技術者が務めています。半導体とは何か、というベーシックなところから始めて、半導体を理解するうえで必要な物理・化学の基礎、基本的なデバイスの構造と動作原理、半導体の製造工程を網羅しています。

 特に基礎を重視し、半導体デバイスの構造や動作原理をじっくり学ぶことにしていることには理由があります。半導体製造には様々な工程があり、多様な専門をもつ人材が必要ですが、誰もが半導体デバイスの基礎を知っていることで、現場での問題解決のためのコミュニケーションが円滑となると同時に、新しいサイエンスやイノベーションを生み出すトップ人材へと飛躍することも可能になるからです。

半導体概論の様子②(旭川高専提供)

 実際に、旭川高専の多くの卒業生が有力な半導体企業の国内外の第一線で活躍しています。今後、北海道が世界の先端半導体産業の拠点となることで、多くの高専卒人材が北海道で活躍する、そんな未来を実現するため、旭川高専は産学官連携に取り組んでいきます。

 旭川高専は、この半導体プロジェクトのほか、全道の小中学生から研究者の卵を発掘して育成する「北海道ジュニアドクター育成塾」、全学生にスタートアップ(起業家)教育を実施する「北海道共創ラーニング」などのプログラムを通じて、地域に開かれ世界に広がる高専を目指しています。

【旭川高専へのアクセス】

■バス
旭川駅 → 旭川高専 約20分(道北バス29番または30番で「高専前」下車)

■車
道央自動車道旭川鷹栖IC → 旭川高専(約4km)約10分
旭川空港 → 旭川高専(約25km)約40分