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もっと知ってほしい、難民のこと【ニュース知りたいんジャー】

2月に始まったロシアの侵攻で、ウクライナの多くの人たちが住み慣れたわが家、平和だったわが町を追われ、苦しい生活を強いられています。紛争をきっかけに難民支援の輪が世界に広がり、日本でも関心が高まっています。6月20日は国連の「世界難民の日」。世界の難民の今を、知りたいんジャーが調べました。【木谷朋子】

◇難民ってどんな人のこと?

 紛争や政変、人権侵害などで家や国を追われ、逃げざるを得ない人たちのことです。人種や宗教、政治活動への参加など事情は人それぞれですが、国に戻されるとひどい目に遭ったり命の危険があったりする人たちです。
 難民条約で認定された人を指すこともあります。他国に逃げた人を広く難民と言い、一時的に避難した人を避難民、国内で別の地域に逃げた人を国内避難民と呼んだりもします。自分の意思で国境を越えて移住した人は「移民」ですが、事情はさまざまなのではっきり区別できないことも多いです。
 難民の支援にあたる「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)」は5月23日、世界の難民は初めて1億人を超えたと発表しました(うち約半数の5320万人は国内避難民)。日本の人口の8割に相当し、世界の100人に1人以上が難民なのです。

◇どの国の人が多いの?

 UNHCRによるとウクライナ侵攻前、世界の難民の68%は、内戦や迫害などを逃れたシリア、ベネズエラ、アフガニスタン、南スーダン、ミャンマーの5か国の出身者でした。最近ではエチオピア、ブルキナファソなどのアフリカ難民も増えています。

 今年に入り、ウクライナからの避難民、難民が急増しています。UNHCRの集計によると、国外へ脱出したウクライナ避難民は8日までに700万人を超えました。クリミア半島を除く人口の6人に1人にあたります。

◇どんな生活をしているの?

 多くの難民は、受け入れ先につくられた「難民キャンプ」や避難所に住んでいます。テントやプレハブのような仮設の住居が建ち並ぶキャンプで10年以上暮らす人たちもいます。多くの場所では医療や学校などの公的サービスどころか清潔な水や食料、トイレさえ足りず、衛生的にも厳しい生活に直面しています。新型コロナウイルスの感染拡大が心配ですが、UNHCRは3月、多くの難民がまだ一回もワクチン接種を受けていないと報告しています。

 難民の多くは「社会的弱者」とされる女性と子どもです。約70か国で活動する国際NGO(非政府組織)の「プラン・インターナショナル」は、ヨルダンのアズラック難民キャンプにいる5万4000人のシリア難民のうち、約10%が5歳未満だと説明します。キャンプには幼児を対象にしたサービスがなく、このNGOでは保育施設をつくり、小学校入学に備えて読み書きを教えています。難民の母国語と滞在先の言語の違いは教育や日常生活の壁になり、就職などを難しくしています。

◇どのように支援しているの?

 第二次世界大戦後に設立された国連は、世界中の人々が安心して暮らせる「基本的人権」を守るため、1951年に難民条約を制定しました。加入国は迫害から逃れてきた難民を受け入れ、保護する義務があります。

 難民の支援はUNHCRが中心となり、数多くのNGOやNPO(非営利組織)が各地で活動しています。日本国内で20年以上活動する認定NPO法人「難民支援協会」は、難民認定の手助けや仕事探しなど、さまざまな困りごとをサポートし、地域社会での支援や国の制度の見直しなどを求める活動もしています。

 プラン・インターナショナルは、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャなど4地域の難民を支援しています。特に女の子や女性の支援に力を入れているといいます。人身売買や虐待の危険から保護し、早すぎる結婚から女の子を守る活動、就労や教育を支援する活動などさまざまです

◇日本にいる人たちの状況は?

 2021年に日本が難民条約に基づく難民と認定し、受け入れたのは申請者2413人のうち、わずか74人でした。条約に加入した81年以来の合計は915人です。支援団体は「認定されるべき人がされていない」と、国の厳しい判断を批判しています。

 国連などのデータによると、20年の認定率は、カナダ55%、イギリス47%、ドイツ41%、アメリカ25%に対し、日本は0・5%(21年)は3%)。1年間で認定された難民の数はドイツが約6万3000人、カナダは約2万人に上ります。

 日本でも、17年には2万人近い申請者がいました。しかし、申請方法が厳しくなったため翌年にほぼ半減し、20年には約4000人になりました。
 日本で認定されるまでの待機期間は平均4年以上、中には10年以上かかる人もいると難民支援協会では説明しています。習慣や言葉も分からない日本で、認定されるかどうかと不安な日々を送るのです。生活や子どもの教育など、将来への不安を感じる人も少なくありません。

 一方、ウクライナについては、日本も3月2日に避難民の受け入れを表明し、5月14日時点で979人を受け入れました。生活費の支給などの支援策でこれまでの難民より手厚い対応です。難民保護の拡大につながるきっかけになればと期待する声もあります。(2022年06月15日毎日小学生新聞より)