縄文人はスーパースター!?【月刊Newsがわかる11月号】

未来の仕事図鑑 マグロの仲卸人

日に本ほん全ぜん国こく、世せ界かい各かく地ちから多た数すうのマグロが集あつまる豊とよ洲す市し場じょう(東とう京きょう都と江こう東とう区く)。その中なかから「いいマグロ」を選えらんで買かい、飲いん食しょく店てんや魚さかな屋やの好このみに合あったマグロを売うり渡わたすのが、仲なか卸おろし人にんの仕し事ごとです。(「Newsがわかる2025年5月号」より、文章中の所属・肩書などは掲載当時のものです)

 狙ねらったマグロを必かなずセリ落おとす

 海うみで漁りょう師しがとった魚さかなは、近ちかくの港みなとや都と市しの消しょう費ひ地ちにある魚さかな市し場じょうに“上じょう陸りく”します。豊とよ洲すの魚さかな市し場じょうはその一ひとつ。毎まい日にち、水すい産さん卸おろし売うり業ぎょう者しゃが漁りょう師しから買かったマグロを、市し場じょうのセリ(競きょう争そうで値ねをつけさせ、最さい高こうの値ねをつけた人ひとに販はん売ばいする取とり引ひき方ほう法ほう)に出だします。

 私わたしが勤つとめる「やま幸ゆき」はマグロ専せん門もんの仲なか卸おろし業ぎょう者しゃで、豊とよ洲す市し場じょうのセリに出でたマグロを買かい付つけ、1000ほどの飲いん食しょく店てんや魚さかな屋やなどに売うり渡わたしています。

 仲なか卸おろし人にんの仕し事ごとは大おおきく分わけて三みっつです。一ひとつは、セリ場ばに並ならんでいるマグロの下した見み(目め利きき)。事じ前ぜんに「このマグロならこのくらいの値ね段だんで買かおう」と決きめます。二ふたつ目めは、セリで目めをつけたマグロをセリ落おとすこと。1匹ぴきあたり数すう秒びょうで値ねが決きまるセリはスピード勝しょう負ぶです。三みっつ目めは、セリ落おとしたマグロを解かい体たいしブロックや柵さくに切きり分わけて梱こん包ぽう。配はい送そう準じゅん備びを整ととのえて出しゅっ荷かします。

恩田弘陽さん(中央)が「大好きなマグロに関わりたい」と、やま幸に入社したのは7年前。築地市場閉場の年だった。やま幸のマグロ仲卸業務は、26人の社員が従事。10代~20代前半の若者たちが活躍し、活気にあふれている

セリ場から180キロのマグロを荷台に載せて運ぶ、1年目の大町真司さん

3人がかりで頭と四つの身に解体する。包丁を握るのは2年目の松倉翼さん(右)

 社長しゃちょうの知識ちしきを全吸収ぜんきゅうしゅう!

 身みを切きるまでマグロの良よしあしはわかりません。そのため、下した見みでの目め利ききは重じゅう要ようです。懐かい中ちゅう電でん灯とうではらの奥おくを照てらして中なかの“景け色しき”を見みたり、尾おの断だん面めんをチェックしたり、触さわって身みの弾だん力りょくや脂あぶらののりを確たしかめたり、切きったらどうなるかを想そう像ぞうしたりして目め利ききします。

 加くわえて、「とにかく色いろがいい」「脂あぶらが多おおめ」などお客きゃくさんそれぞれのマグロの好このみも考かんがえます。それでも切きってみたら、ダメだということもあるのです。

 すべてのお客きゃくさんの好このみを把は握あくしている社しゃ長ちょうは、その注ちゅう文もん通どおりかを確たしかめながら、必かならず最さい後ごの切きり分わけをします。私わたしは日ひ々び、その横よこに張はり付ついて、社しゃ長ちょうの表ひょう情じょうとマグロを交こう互ごに見みて、また言こと葉ばを一ひとつも聞きき逃のがすまいと勉べん強きょうしています。

 目もく標ひょうはいいマグロを見み極きわめてセリ落おとし、お客きゃくさんに最さい後ごまで使つかい切きって満まん足ぞくしていただくこと。独ひとり立だちできる日ひを目め指ざしています。

最後にマグロを切り分ける社長の山口幸隆さん(中央)をサポートする恩田さん(右)。やま幸は山口さんの的確な目利きぶりが広まり、国内外の高級すし店がこぞって使う仲卸に成長した。40年以上の経験に基づく山口さんの頭の中にある膨大なマグロに関する知識を、若手社員が日々、吸収している

 仕事に欠かせないもの  マグロ包丁、懐中電灯   マグロの解体に使う専用の包丁。写真は身を半分に切る長さ1メートルくらいの「半丁切り包丁」。断面がきれいに切れる。もちろん毎日、刃を研ぐ。懐中電灯は、下見の際にマグロのはらの状態を見るのに欠かせない。


取材・文:千葉潤子 写真:武市公孝

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