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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

ブックガイド「一気にわかる!池上彰の世界情勢2023 世界に広がるウクライナ戦争の影響編」

「ニュースがわかるオンライン」が選んだおすすめの本を紹介する「ブックガイド」コーナー。わかりやすいニュース解説でおなじみの池上彰さん最新刊の『一気にわかる!池上彰の世界情勢2023 世界に広がるウクライナ戦争の影響編』(毎日新聞出版刊)をご紹介します。

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻からまもなく1年。大変な犠牲が出ていますが、停戦の見通しはたっていません。一方、5月には広島でサミット開催。世界の首脳たちは、何を話し合うのでしょうか。

 2022年もいろいろなことがありました。2月にロシアがウクライナに軍事侵攻したのには本当に驚きました。まさか21世紀にこんなあからさまな戦争が起きるとは。

 でも、実はロシアのプーチン大統領も驚いているかも知れません。ウクライナに攻め込んだら、ウクライナは簡単に降伏するだろうと思っていたようだからです。戦争は短期間で終わると思っていたので、ロシア軍は当初、食料や燃料を3日分程度しか持って行かなかったと見られています。

 しかし、実際にはウクライナは必死になって抵抗。大きな犠牲を出していますが、犠牲が大きいことで言えば、ロシアの方がもっと大きく、あわてて新たに兵士を集めることになり、国内で混乱が広がりました。悲惨な戦争の様子を見ていると、「早く停戦になってほしい」と思うのですが、なかなかそうはなりません。ウクライナにすれば、いま停戦すれば、東部と南部をロシア軍に占領されたままになります。これでは「敗北を認めたも同然だ」と考えてしまうからです。

 一方、ロシアも、ここで停戦になると、「新たにロシア領になった」と宣言した部分を完全には占領していません。これでは「軍事行動がうまくいっていない」と認めたことになり、プーチン大統領の責任問題になってしまうからです。

 どうすれば、双方の顔を立てながら戦争をやめさせることができるのか、世界は考えなければなりません。

 参議院議員選挙中の7月に安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件もショックでした。海外にくらべれば、ずっと治安のいい日本と言われてきましたが、それが油断を生んだかもしれません。これ以降、重要人物の警備のあり方が見直されました。今年5月には広島でG7サミットが開かれ、多くの外国の首脳が来日します。会議が無事に終わるように警備を強化しなければなりません。

本書の巻末資料「2023年 世界のスケジュール」より

 と同時に、被爆地ヒロシマで開かれる会議ですから、「二度と核兵器が使われないようにするにはどうしたらいいか」を話し合うことも予定されています。会議には核兵器を持っているアメリカ、イギリス、フランスの首脳もやって来ます。世界の首脳たちには、ぜひ平和記念資料館を見て、核兵器の恐ろしさを再認識してほしいと思います。

 2023年は9月1日に関東大震災から100年を迎えます。死者・行方不明者合わせて10万5000人という大きな被害を出しました。現在の日本も、「南海トラフ巨大地震」や「首都直下地震」がいつ起きてもおかしくない状態が続いています。

 日本はその後も阪神・淡路大震災や東日本大震災に見舞われてきました。あらためて過去の震災がどんなものだったかを学び、二度と大きな被害を出さない対策をとる必要があります。

『一気にわかる!池上彰の世界情勢2023 世界に広がるウクライナ戦争の影響編』はじめにより

紹介した本はコチラ

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池上彰の世界情勢2023
世界に広がるウクライナ戦争の影響編

著者:池上彰 出版社:毎日新聞出版 定価:1,100円

本書の目次

はじめに
第1部 広がるウクライナ戦争の影響・2023年の展望編
第2部 国際情勢・基本おさらい編
 第1章 ロシア・ウクライナ問題
 《年表》ロシア・ウクライナの主なできごと
 《地図》ウクライナ周辺図と難民の数
 《地図》ウクライナ地図
 第2章 アメリカと中国
 《年表》アメリカに関連する主なできごと
 《年表》ヨーロッパに関連する主なできごと
 《地図》アメリカ中間選挙 上院の結果
 第3章 日本
 《年表》アジアに関する主なできごと
 《年表》日本国内の主なできごと
第3部 各国指導者・資料編
 日本・中国・アメリカ略年表/自民党の派閥/アメリカの歴代大統領一覧
 日本の歴代首相一覧/中国の歴代指導者一覧/2023年世界のスケジュール

著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら)

1950年、長野県生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。1994年から11年にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役をつとめ、わかりやすい解説が話題になる。2005年よりフリーのジャーナリストとして、テレビ、新聞、書籍で活躍。現在、名城大学、東京工業大学など11の大学で学生たちの指導にもあたっている。おもな著書に「知らないと恥をかく世界の大問題」シリーズ(KADOKAWA)、「おとなの教養」シリーズ(NHK出版)、「池上彰の世界の見方」シリーズ(小学館)、「そうだったのか!」シリーズ(集英社)がある。そのほか、『歴史の予兆を読む』(保阪正康氏との共著、朝日新聞出版)、『独裁者プーチンはなぜ暴挙に走ったか 徹底解説:ウクライナ戦争の深層』(文藝春秋)など、著書多数。