【ニュースがわかる2024年7月号】巻頭特集は「沸騰」する地球の未来

スクールエコノミスト2024 WEB【共立女子中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は共立女子中学校を紹介します。

一人ひとりの生徒の強みを見出す学校。開かれた道は科学や海外へとつながる

<注目ポイント>

①「リーダーシップ開発」で個々の生徒の良さを発見し、認め合う

②コミュニケーションの土台となる表現力を引き上げる「国語表現」

③東邦大学理学部との中高大連携教育で理系分野への扉を開く

世界標準のリーダーシップを育成

 「リーダーシップの共立」を掲げ、学園全体でリーダーシップの開発・育成に取り組む共立女子中学校。前田好子校長は「一部の人だけが上に立つのではなく、全員が自分の良さを出し合いながら他者と協働していく。これが私たちの考えるリーダーシップです。これは、34名による創立当初から脈々と受け継がれてきた共立女子学園の精神。社会が目まぐるしく変化し、キャリアが多様化する今の時代だからこそ、こうしたリーダーシップが必要だと考えています」と語る。

 2022年度より、中1・2の探究学習として「リーダーシップ開発」がスタート。前期の到達目標はコミュニケーション能力の向上だ。「フィードバックするときは、良いところを先に伝えた後に、さらに改善できる点を伝えよう」など、教員からの具体的なアドバイスを交えながらグループワークを行い、実践を通じて話し合いの進め方やチームビルディングの方法を体得。このプログラムのアドバイザーである、金井圭太郎・広報部主任は「生徒へ常に伝えているのは、たくさん発言したり、アイデアを出す人だけでなく、みんなの発言をメモする人、場を和ませてくれる人など、誰もが大切な役割を担っているということ。自己有用感が高まり、相手の立場も尊重できるようになります」と語る。

 後期は自分たちの身近な物事をテーマとした課題解決型学習に取り組む。ある年の中2のテーマは、同校が所在する「神保町」。この街に10代の若者を呼ぶプランを立案し、実際に町会へのプレゼンも行った。

「国語表現」で書く・話す力を鍛える

 他者とのコミュニケーションには表現力が不可欠だが、同校では言葉で表現することに特化した「国語表現」をカリキュラムに盛り込んでいる。国語の授業とは別に週1コマ、クラスを分割して中学全学年で実施。論理的な文章の執筆や詩歌などの創作のほか、ディスカッションやプレゼンなど、様々なアプローチから表現に取り組む。「『国語表現』は2018年から行っています。高3生の小論文を添削する機会があるのですが、以前よりよくまとまっていて書くスピードも速い。小学校で発表に苦手意識を抱いたという生徒も徐々に人前で話せるようになっています。文章も発表も、経験を積んで慣れることが一番の上達方法」と、金井教諭は言う。

 秋に行われた文化祭では「共立プレゼンルーム」と称し、ブックトークやビブリオバトル、理科の自由研究発表、英語による学校紹介など、生徒たちは一般の来場者を前に大人顔負けのプレゼンを披露した。

文化祭では多種多様なプレゼンが実施される