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スクールエコノミスト2023 WEB【 立志舎高等学校(通信制)編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は特別編として、通信制高校の立志舎高校を紹介します。

すべての生徒に学ぶ喜びを 熱血教員たちが創り上げた学校

<注目ポイント>

 創立以来、多様な個性を持った生徒を受け入れてきた立志舎高等学校。細かい校則はない反面、社会人として責任を伴った人財を育成するため社会ルールを校則とする。熱血教員が展開する、立志舎独自の先進的教育とは。

すべての違いを個性、自己表現と認めるインクルーシブ教育

 「今の時代にどんな高校があるといいのだろう」。そんな素朴な疑問から生まれた立志舎高等学校。設立は1999年。創立時のメンバーは証券会社、銀行、旅行会社、法務省職員など多くが異業種からの挑戦組。多岐にわたる人財がインクルーシブ教育に共鳴、集結し、従来の教育の枠にとらわれない新しいスタイルの教育を目指してきた。

 同校は幅広い個性、成績の生徒に門戸を広げ、中学卒業後入学してくる生徒の中には、不登校経験者、勉強が苦手な生徒、外国籍で来日してまだ間がない生徒などや、高校中退者や転校生も受け入れている。校則は社会ルールとしているので、生徒の中には髪の色を染めたり、ピアスをしていたり、それぞれの個性を発揮している。学校側はそれも自己表現として認めているが、社会ルールを逸脱した行為は決して許していない。

 昨年度は、高校に進学してからも野球を続けたいという本人たちの強い希望を受け入れ、特別支援学校から聴覚障がいのある生徒を受け入れた。初めての試みだったが、2人が入部した野球部では、部員たちがジェスチャーで積極的に2人とコミュニケーションをとっている。「耳の不自由な2人のために、監督の指示を部員たちが試行錯誤しながら懸命に伝えようとする様子を見て、思わず胸が熱くなりました」と伯耆原浩行校長。野球というチームスポーツを通して部員一人ひとりが何をすべきかを考え、彼らをサポートしようとする輪が自然に生まれていたのだ。

立志舎高等学校 伯耆原浩行校長

専門学校で効果を実証されたゼミ学習で能動的な学びを喚起

 立志舎では、家で勉強して単位だけ取得すればいいという考えではなく、卒業後に自らの進路を切り開けるよう、通信制高校といえども通学型の「平日コース」を設置。「個性は集団の中で発揮される」という精神のもと、対面重視の授業を行っている。月~金に授業が行われる「平日コース」は、「普通クラス」「進学クラス」「特進クラス」の3つのクラスが選べる。特筆すべきは、平日コースの授業のほとんどはグループで学ぶ「ゼミ学習」を導入していること。ゼミ学習は、人と接したり、会話したりする機会が多いため、学力や表現力だけでなく、学ぶ意欲を引き出し、高い学習効果を上げている学習法だ。従来の講義形式の授業では生徒は常に受け身の立場に立たされるが、ゼミ学習ではあくまでも生徒が主役。立志舎では、専門学校で実績を上げてきたゼミ学習のノウハウを同校の授業に取り入れ、専門学校で経験を積んだ教員が質の高い授業を展開。クラスを6~8人のグループに分け、生徒が互いに教え合いながら授業を進めていく。仲間同士でわからないところを話し合いながら解決することで、学力だけでなく、人間性を養うのにも一役買っている。グループのメンバーは固定せず、教員の裁量で定期的に変更することで、コミュニケーションが苦手な生徒も無理なく溶け込めるのが特長だ。

 「授業中に手を挙げて質問しづらいことも、ゼミ学習ではグループ内で気軽に質問できる。教えてもらう側はもちろん、教える側もさらに理解を深めていけるのがゼミ学習の特長。最初は自信のなかった子も、ゼミ学習を通じて主体的に学ぶ姿勢、仲間と一緒に解決策を見出すことの楽しさを身につけ、人間的にも成長していくのです」と伯耆原校長。

 一方で、平日を有効に使いたい生徒や毎日登校するのが難しい生徒のために、フレキシブルに登校できる「土曜コース」も併設。月に1、2回土曜日に登校するだけなので、家業を手伝う人、アルバイトや仕事をしながら学びたい人、実技試験を重視した大学進学を考えている人などが各自のペースで学ぶことができる。平日は自習室を開放し、いつでも学校に足を運べる環境を用意。教員が交代で在室しているので、進路や悩みごとも気軽に相談できる。さらに平日コースに通うことが難しくなった生徒が土曜コースへ変更したり、土曜コースの生徒が平日コースに変更したりすることが可能なので中高時代に不登校だった生徒も、平日コースに安心してチャレンジできるシステムだと言える。