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スクールエコノミスト2023 WEB【目黒日本大学中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は目黒日本大学中学校を紹介します。

失敗をバネに気づきを得た生徒が「振り返り」の三者面談で主体的に成長

<3つのポイント>

①算数と理科をベースに文章読解力を問う「算理入試」を導入

②保護者と教員へのプレゼンで振り返りを行う「三者面談」

③国公立大学受験を前提とした先取り教育で受験対策も万全

受験者数は5年連続右肩上がりが続き「算理入試」の受験者も前年の1.4倍に

 日本大学の準付属校となって5年目を迎える目黒日本大学中学校。受験者数も年々右肩上がりで、2019年度の290名から2023年度は614名と、2.1倍ほど増加している。なかでも、2020年度からスタートした算数、理科の「算理入試」は、理数科目を得意とする小学生の注目を集め、2023年度の受験者数は、前年の約1.4倍に増加。男子を中心に、合格者の多くが難関校の併願組で占められていたという。

 広報主任の天野正貴教諭は、「算理入試は、基本的に理科の題材をベースに、計算に落とし込む内容なので、理科の用語を知らなくても解ける内容になっています」と説明。しかし、単純に算数や理科の知識を問うだけでは教科型入試と同じになってしまう。そのため、例えば2022年度は、第5世代移動通信システム(5G)を題材にした、会話形式の設問を出題。波長や周波数のHz(ヘルツ)について、Aさんが先生に質問する内容で、普段からニュースなどで見聞きする社会事象や変化を題材に取り上げ、身近な問題として考えさせる出題意図がある。「制限時間で解くには、長い会話文を理解する速読力が必要。基礎的な計算力だけでなく、文章読解力を試す内容にしている」と解説する。

 さらに天野教諭は、「算理入試を突破した生徒たちの成長は目を見張るものがある」と話す。その活躍の場の一つとなっているのが、学期ごとに中学の全生徒が挑む「計算コンテスト」だ。3学年共通で出題される複雑な四則計算は、学年の枠を超えた競争となる。当然、中3生が有利と思いきや、中1生が優勝する“下剋上”もあるという。「算理入試で入学した生徒が活躍し、スポットライトを浴びることで、この科目なら誰にも負けないという自信をつけてもらうのが狙い。その姿を見て、中3生も負けてはいられないとモチベーションが高まるようです」(天野教諭)。

生徒自身がプレゼン資料を作り一年を総括する「三者面談」

 日々熱心に学ぶ生徒たちの成長は、各学年で3学期に入ってすぐに行う「三者面談」で振り返る。ユニークなのは、生徒自身が振り返りや目標設定の資料を作り、保護者と担任にプレゼンテーションを行うことだ。内容は様々で、英検3級の合格を逃した生徒は、失敗体験をもとに反省点を分析。ほかにも成績の推移をグラフで示したり、部活動で打ち込んだことを発表したり、将来行きたい学校を意思表明したりする生徒もいる。こうしたプレゼンは、「否が応でも自分自身を客観的に見つめ直す機会になるので、主体的に学習に取り組む意欲が向上する」と天野教諭。担任は生徒のプレゼン内容を否定せずに受け止め、面談は前向きな雰囲気で終了。家では子どもとあまり会話しないという保護者も、頼もしい我が子の姿を見て感動することもあるといい、「この面談が親子のコミュニケーションのきっかけになれば」と期待を込める。

これまでを振り返ってスライドも自ら作成