スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は本郷中学校を紹介します。
自由と多様性尊重の校風が見える 生徒主体の卒業論文は中1から始まる!
<3つのポイント>
①「文武両道」「自学自習」「基本的生活習慣の確立」の教育目標
②学年を超えた強いつながりを勉強面にも生かす教育
③「卒業論文」で論理的思考力や自己表現力の向上をはかる
先輩・後輩の縦のつながりによって双方が切磋琢磨しながら成長する
「文武両道」「自学自習」「基本的生活習慣の確立」を教育目標に掲げる本郷中学校。伝統的に部活動が盛んで、部活動を通して学年を超えた先輩・後輩のつながりが生まれ、それが人格形成にも生かされているという。
また本郷には、年に数回、中2生が中1生に教える「数学合同授業」がある。この授業では、先輩が後輩に、数学定期考査の対策や勉強方法などをアドバイスする。中1生は、先輩の姿に憧れて勉強に励むようになり、中2生は、後輩へのサポートを通じて自らの学習姿勢を振り返る機会になる。ここでも学年を超えた交流によって生徒自身が主体的に学び、成長していく好例といえよう。
中1のテーマ探しから始めて3年間をかけて仕上げる「卒業論文」
こうした校風のもと、本郷が力を入れているのが中学の「卒業論文」だ。まず、中1では、教科ごとに50~100冊ずつリスト化された「推薦図書一覧」を参考にテーマを選ぶ。岩波新書や中公新書などを中心に中学生には難しい本もあえて加えるのも、知的好奇心を育み、読解力や理解力を鍛えたいという教員側の狙いがある。中2の社会科では、論文作成の作法を学び、中3の1学期にテーマを決定する。夏休みに原稿を書いて添削を経たのち、冬休み明けに3千字以上の完成原稿を提出する。卒論は教務部が中心となって担当するが、これは全教科を等しく大切にする本郷の教育観を反映している。教務部長の金子孝太郎教諭は、中学で卒論に取り組む意義について、「論理的思考力の養成や自己表現力の向上はもちろん、自分なりに答えを出す経験を積むことで、世の中にどう貢献できるかを考えるきっかけにもなります」という。
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