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【ニュースがわかる2024年5月号】巻頭特集は10代のための地政学入門

スクールエコノミストWEB【山梨学院中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は山梨学院中学校を紹介します。

世界標準の探究型教育で生き抜く力を涵養 東大、京大、海外大など多様な道を拓く

<3つのポイント>

① 探究力や表現力を養う2つのプロジェクト活動

② ICTの活用と外国人教員による個別指導で、英語4技能を育成

③ 天井のない学びを提供し、「好き」「楽しい」の追求を後押し

国際社会への扉を開く世界標準の教育

 甲府市に幼稚園から大学院までを設置する山梨学院。いち早く国際バカロレア(IB)認定を取得するなど世界標準の教育を展開しており、2021年には教育のグローバル展開を目指し、法人名をC2Cグローバル エデュケーションジャパンに改称した。

 「法人名のC2Cは、Curiosity to Creativity(個性と能力を最大限に発揮して新しい価値を創出することを楽しむ)とChallenge to Change(時代の変化に適応して自ら実行して現実社会を変えていくことを楽しむ)という学園哲学を表しています。学園の国際化が進み留学生も増加するなか、中高でもグローバルな時代に対応した教育をさらに強化していきます」と吉田正校長。

 その象徴が、2つのプロジェクト活動だ。夏休み前にテーマごとのグループを作り、縦割りの人間関係を結びながら活動を続けて10月の学園祭で発表する「チームプロジェクト」は、協働を通して主体性や多様性などを育む機会。一方、一人ひとりが自ら設定したテーマを1年間かけて研究して論文にまとめ、プレゼンテーションをする「パーソナルプロジェクト」では、個人の興味関心を突き詰める。テーマは毎年変えても、3年間継続してもよく、実験や観察、現地取材、文献の精査など、研究手法も個人に委ねられる。教員はファシリテーターとして適切な助言を与えながらも正解は示さず、生徒自身が問いを立て、手や足を動かして答えを得るよう促していく。「最も重要なのは、徹底的に追及すること。『どうすればいいか』と考え、トライ&エラーを繰り返しながら答えを探り出していく経験が、従来型の学習では育成しきれないグローバルな力を育むのです」と吉田校長。研究テーマは、「信号で立ち止まらずに登校するには?」「ぶどうをより長く出荷するには?」「酸性雨は肥料になるか?」「妖怪は実在するか?」など多岐にわたり、大学院レベルの研究もあるという。

過半数が英検準2級以上を取得 科学分野の学外活動でも躍動

 コミュニケーションに不可欠な英語は、グローバル化に必須な反面、入学時の能力差が大きな科目でもある。同校では、オンライン教材e-Spireを平常授業にも取り入れ、全生徒が常に自分に合ったレベルの学習を進められる環境を整備。並行してネイティブ教員による個別指導も行い、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能をバランスよく伸ばしている。さらに、1年次から2年次の宿泊行事のイングリッシュキャンプや3年次のオーストラリア語学研修などの場で海外の大学生との交流を段階的に行い、英語で自分の考えを伝える力も養っている。

 同校では、さまざまな実験を通して自然の不思議を直接体験する機会も豊富。好奇心を刺激され科学のおもしろさに目覚めると、「もっとやりたい」「もっと知りたい」気持ちが生まれ、科学の甲子園やロボットコンテストといった学外コンテストへの挑戦熱も高まる。同校では学外コンテストへの参加も奨励しており、事実全国大会で上位の成績を収めるなど目覚ましい活躍をする生徒もいるが、その背景には、生徒の学びたい気持ちを受け止め、学年を超えた学びを提供する熱意ある教員たちの応援も見逃せない。

中高合わせて7名の外国人教員が実践的英語を指導